より身近になった紫外 (UV) レーザーが切り開く新たな可能性

 

高エネルギーのUV光子により、精度と性能が向上

 

従来のUVレーザーは極めて高価で大型だった

 

新世代の小型・低価格のUVレーザーがますます身近なものに

 

半導体検査、顕微鏡、殺菌の進化に貢献

多くのレーザーオプティクスのアプリケーションは、より短い紫外線波長を使用する方向にシフトしています。それは、解像度を向上させ、周囲への加熱を最小限に抑えながら非常に小さく精密な特徴を生み出すことができるためです。最近まで、連続波 (CW) UVレーザー光は高コストで大型のため、特に大学の研究室など、多くの場面で使用されることはありませんでした。現在、小型でコスト効果の高いUVレーザーの登場によって、このバリアが取り除かれました。その結果、UVアプリケーションは、微細加工からUVラマン分光、病原体の不活性化に至るまで拡大しました。

なぜUVレーザーを使うのか?

集光されたレーザーのスポットサイズは波長に比例するため、UVレーザーは赤外光や可視光よりも高い空間分解能を実現します。そのため、半導体産業や微細加工における精密な欠陥検査に使用することができます。多くの材料を加工する際、UVレーザーは材料を蒸発・溶融させるのではなく、原子結合を直接切断できるため、結果的に周辺に与える熱を抑えることができます。UV波長は高いエネルギーを有するため、タンパク質などの生体分子の蛍光励起に理想的です。これは、多くのバイオメディカルアプリケーションにとって有益です。また、UVレーザーはハイパワーのUVC放射 (200 - 280 nmの波長) を照射することによってUVCランプやLEDよりも効果的に表面消毒ができるため、殺菌システムの効果を高めることができます。1

disinfecting surfaces to eliminate potential pathogens
UV lasers are highly beneficial in a wide range of applications including fluorescence microscopy biomedical systems
Figure 1: UVレーザーは蛍光顕微鏡やバイオメディカルシステム (左) や潜在的病原菌を除去するための表面除菌 (右) などの幅広いアプリケーションにとって有益である。 1

従来のUVレーザー技術の何が問題なのか?

連続波 (CW) UVレーザーは、これまで利得媒質としてイオン化されたアルゴンガスを利用するか、周波数4倍化された近赤外ネオジムレーザーを用いて機能してきました。周波数4倍化システムは最初のビームを一度2倍化するために2つの外部共振器を必要とし、その後さらに別の共振器でこの工程を繰り返します。2 このシステムは複雑なものとなり、この両方とアルゴンイオンレーザーを含めると少なくとも靴箱2つ分の大きさになります。そのため、ポータブルデバイスに使用することは不可能でした。

より身近になった新世代UVレーザー

UVレーザー技術の進歩によってより小型で低価格のデバイスが可能になりました。UVC Photonics社が開発した新しいプラセオジム添加フッ化イットリウムリチウム (YLF) レーザーは周波数4倍化ではなく周波数2倍化によって261nmのレーザービームを生成します (Figure 2)。2 そのため、システムの複雑さと必要な部品点数を大幅に削減することができます。このレーザーは半導体レーザーと同様に動作し、共振器ロックや温度安定化のための複雑な電子部品も必要としません。

UVC Photonics社のコンパクトなUVレーザーは青色励起ダイオード、プラセオジウム結晶、第二高調波発生 (SHG) 用結晶、共振器出力ミラーで構成されている。<sup>2</sup><br>写真提供:UVC Photonics社 UVC Photonics社のコンパクトなUVレーザーは青色励起ダイオード、プラセオジウム結晶、第二高調波発生 (SHG) 用結晶、共振器出力ミラーで構成されている。.2写真提供:UVC Photonics社
Figure 2: UVC Photonics社のコンパクトなUVレーザーは青色励起ダイオード、プラセオジウム結晶、第二高調波発生 (SHG) 用結晶、共振器出力ミラーで構成されている。2
写真提供:UVC Photonics社

UVC Photonics社のレーザーは、261nmで10mWを超えるCW出力を達成し、動作に必要な消費電力は5W未満、サイズは僅か22 x 24 x 71mm です。1 こうした特性から、このレーザーは、ポータブルシステムや携帯用システム、従来のUVレーザーではコスト的に採用が難しかった大学の研究室や産業用途に最適な製品となっています。アルゴンイオンレーザーは通常十数kWの消費電力で十数Wの出力、周波数4倍化UVレーザーは500mW以上の出力が可能です。従来の技術のほうが高い出力が可能ではありますが、著しく大きなサイズとコストのため、特定のアプリケーションにとっては魅力的な選択肢とは言えません。また、この半導体レーザーモジュールの狭い線幅とCW機能はUVラマン分光にも適しています。詳細は、UVC Photonics社のウェブサイトでご覧いただけます。

エドモンド・オプティクスのUVレーザー用オプティクス

エドモンド・オプティクスは、UV波長用をはじめ、様々なレーザーオプティクスの設計・製造を行っています。厳しい表面公差と高いレーザー損傷閾値により、当社のUV用レーザーオプティクスはUVレーザーシステムの厳しい要求を満たすことができます。266nm (Nd:YAGレーザーの第4高調波) 用に設計された多くの光学部品は261nmでも十分機能します。また、お客様のアプリケーションに合わせてコーティングや部品の形状を特注することも可能です。

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精密紫外 (UV) 用球面ミラー

  • 120nmと190nm設計波長
  • VUV or DUV光の集光に最適
  • 可視とIRで広帯域反射
  • 精密平面ミラーもラインナップ
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Nd:YAG レーザーミラー

  • Nd:YAGの高調波で >99.2%の反射率固定用の266nm
  • 高いレーザー誘起損傷閾値スペック
  • 10-5の表面品質により繊細なレーザーアプリケーションでの散乱を低減
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レーザーライン凹面ミラー

  • レーザー光の一点集光用に最適
  • 中心波長で99.8%を超える反射率
  • 熱的安定性に優れた合成石英基板を採用
  • 266nm 用デザインをラインナップ
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IBS レーザーミラー

  • 低損失かつ高反射率のIBSミラーコーティング
  • 認証済みの高いレーザー損傷閾値
  • 1ppmレベルの散乱性能を持つスーパーポリッシュ基板にも対応
  • 266nm 用デザインをラインナップ
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精密紫外用ミラー

  • 120nmまたは190nmの設計波長
  • 仕様範囲内で85%を超える平均反射率
  • 可視域全体まで反射率を高める金属膜コーティングを採用
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レーザーライン λ/20 高精度直角プリズムミラー (斜面コートタイプ)

  • 設計波長で>99.5%の反射率
  • ±15”の角度公差
  • 熱的安定性の高い基板を採用
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レーザーグレード平凸レンズ

  • 認証済みのレーザー損傷閾値
  • 10-5の表面品質
  • λ/10の面精度
  • 266nm用デザインをラインナップ
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レーザーグレード レーザーラインシリンダーレンズ

  • Nd:YAGの高調波で<0.25%の反射率
  • 合成石英基板
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ハードコート OD 4.0 5nmバンドパスフィルター

  • 高ブロッキング&高透過率
  • 透過帯から透過阻止帯への急峻なスロープ特性
  • ハードコート OD 4.0 10nm、25nm、50nm バンドパスフィルターもラインナップ
  • 266nm用デザインをラインナップ
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λ/20 高出力レーザーラインウインドウ

  • 266nm、355nm、532nm、1064nmでR < 0.25%
  • 低自家蛍光
  • 10 J/cm2 @ 10ns @ 1064nm までの損傷閾値
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λ/10 レーザーコートウインドウ

  • 10-5 の表面品質
  • 設計波長で高い損傷閾値
  • 12.7~50.8mm径までをラインナップ
  • 266nm用デザインをラインナップ
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Vega™ レーザーライン用ビームエキスパンダー

  • レーザー波長用のARコート付き: 266nm、355nm、405nm、532nm、1064nm、1940nm
  • 1.5Xから20Xまでの固定倍率をラインナップ
  • 回転式ピント調整機構で入射ビームの発散性を補正

他にも多くの製品をラインナップ!

参考文献

  1. UVC Photonics (2021). Deep Ultraviolet Laser Modules. UVC Photonics Corporation. www.uvcphotonics.com.
  2. Buchter, Scott (2021). Compact deep-ultraviolet CW lasers lead to new commercial applications. Laser Focus World. www.laserfocusworld.com/lasers-sources/article/14205517/compact-deepultraviolet-cw-lasers-lead-to-new-commercial-applications.

FAQ (よくある質問)

FAQ (よくある質問)  UVC Photonics社が採用している技術はなぜもっと普及しないのか?
この新世代のUVレーザーで使用されるプラセオジム添加フッ化物結晶は、商業利用に必要な品質と一貫性を保ちながら成長させることが非常に困難です。2 UVC Photonics社は、これらの結晶を適切に成長させることができるため、業界内の他社と一線を画しています。
FAQ  261nmよりも未時間波長に移行しているアプリケーションもある?

はい。一部の高精度な実験室用途では10-100 nmの極端紫外 (EUV) 波長に移行しつつありますが、産業界ではまだ広く使用されていません。このトレンドについての詳細はこちらでご覧いただけます。

FAQ  UVレーザーに使われる光学部品は経年劣化する?

はい。UVレーザー放射の高いエネルギーによって光学コーティングと基板は経年劣化するため、UVレーザー用光学部品は消耗品となっています。

技術情報

アプリケーションノート

理論的説明や公式、図解などを網羅した技術情報やアプリケーション実例です。

UV Optics: Tighter Tolerances and Different Materials
読む  

Why Laser Damage Testing is Critical for UV Laser Applications
読む  

レーザーコンポーネントにおけるレーザー誘起損傷閾値 (LIDT) の理解と規定
読む  

Key Parameters of a Laser System
読む  

レーザーオプティクスに対する測量
読む  

動画

簡単なヒントからアプリケーションベースのデモに至るまで、企業や製品に関する動画情報です。

Introduction to Laser Optics Lab 
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エドモンド・オプティクスの計測:製造の主要な要素としての測定 
視聴する  

ウェビナー

オプティクスやイメージングの広範なテーマに関する、エドモンド・オプティクスの専門スタッフによる録画ウェビナーです。

High Reflectivity Mirrors for Laser Applications 
視聴する  

Ultra-Low Surface Roughness Polishing 
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