蛍光顕微鏡用の蛍光試薬と光学フィルター
Edmund Optics Inc.

蛍光顕微鏡用の蛍光試薬と光学フィルター

本ページはイメージングリソースガイドセクション10.2です

蛍光試薬 (または蛍光色素) は、蛍光顕微鏡検査用にたんぱく質や組織、細胞を蛍光標識するために用いられます。一つの蛍光試薬が、励起波長域として一般に知られる特定波長域のエネルギーを吸収し、蛍光波長域として一般に知られる他の波長域のエネルギーを再放出します。

A Generalized Fluorophore Spectral Curve
Figure 1: 生成された蛍光試薬の分光曲線例

一般的に、蛍光試薬は高振動数を有する照明 (紫外、紫、或いは青色領域のスペクトル) によって励起され (或いはエネルギーを吸収し)、それよりも若干低い振動数 (緑、赤、或いはNIR領域のスペクトル) でエネルギーを放出します。どの蛍光試薬にも、最も効率良くエネルギーを吸収する波長があり、当社のフィルター一覧表ではこれをピーク蛍光波長 (nm) として記載し、吸収したエネルギーを最大限に再放出するところの波長を蛍光波長 (nm) として記載しています。この2つ波長で各々最大限に透過する光学フィルターを個々に選定することで、明るい蛍光画像を取得することが確実なものになります。

蛍光顕微鏡アプリケーションに用いられる代表的な蛍光顕微鏡構成には、3枚の光学フィルターが使用されます。その構成例をFigure 2に紹介します。

フィルター #1: 励起用フィルター

励起用フィルターは、蛍光顕微鏡の照明光路内に配置されます。その目的は、光源から放射されたほぼ全ての波長の透過を阻止し、使用する蛍光試薬の励起波長域のみを透過させることにあります。使用するフィルターの最小透過率が、取得可能な画像の輝度や明るさに直結します。エドモンド・オプティクスは、最低でも40%以上、理想的には85%以上の透過率を有する励起用フィルターの使用を推奨します。励起用フィルターのバンド幅全体は、蛍光試薬の励起波長域内に収まらなくてはなりません。またフィルターの中心波長が、使用する蛍光試薬のピーク励起波長に可能な限り近いことが理想的です。励起用フィルターの光学濃度 (Optical Density:OD)は、フィルターがバンド幅以外の波長の透過をどのレベルまで遮断するかを定量化していることから、画像の背景部の暗さに直結していきます。エドモンド・オプティクスは、最低でも3.0、理想的は6.0の光学濃度を有するフィルターの使用を推奨します。中心波長、最小透過率、光学濃度が理想的な組み合わせを持つ光学フィルターは、最も明るい画像と最も暗い背景部を提供するため、最も鮮明な蛍光シグナルの検出を確実なものにします。

A Typical Fluorescence Microscope Setup
Figure 2: 代表的な蛍光顕微鏡構成

フィルター #2: 蛍光用フィルター

蛍光用フィルターは、蛍光顕微鏡の画像光路内に配置されます。その目的は、使用する蛍光試薬の励起波長域の透過を阻止し、同試薬の蛍光波長域を透過させることにあります。励起用フィルターの項で記載した最小透過率やバンド幅、光学濃度に対する推奨は、蛍光用フィルターにもそのまま当てはまります。繰り返しになりますが、中心波長、最小透過率、光学濃度が理想的な組み合わせを持つ蛍光用フィルターは、最も明るい画像と最も暗い背景部を提供するため、最も鮮明な蛍光シグナルの検出を確実なものにします。

フィルター #3: ダイクロイックフィルター (ビームスプリッター)

ダイクロイックフィルター、或いは同ビームスプリッターは、励起用フィルターと蛍光用フィルター間に45°設置の状態で配置されます。その目的は、励起シグナルを反射して蛍光試薬に向かわせ、蛍光シグナルを透過してディテクター (イメージセンサー) に向かわせることにあります。理想的なダイクロイックフィルター (ビームスプリッター)は、最大反射と最大透過間の転移が急峻で、励起用フィルターのバンド幅では95%以上を反射し、励起用フィルターのバンド幅では90%以上透過します。このフィルターは、迷光の発生が最小限に留まり、最大のSN比を持つ蛍光画像になるよう、蛍光試薬の交差波長を元に選定されていくべきです。適切なダイクロイックフィルター (ビームスプリッター)の選定は難しいこともあるため、エドモンド・オプティクスがあなたのアプリケーションに適したフィルターの選定をサポートいたします。要求内容を確認するため、まずはご連絡ください。

フィルターの組み合わせはどのように行う?

エドモンド・オプティクスは、特定蛍光試薬の励起波長と蛍光波長域内に各々フィットした、在庫販売品で即日出荷可能な数十もの光学フィルターをご用意しています。ピーク励起波長または蛍光波長に最も近く、かつその波長で最大透過率を有するフィルターを単純にお選びください。なお当社の蛍光フィルターセットは、蛍光試薬名を基にフィルターの検索が素早く簡単に行えるようにしてあります。複数の蛍光試薬やレーザー光源、ダイクロイックフィルター (ビームスプリッター)、或いはアプリケーションに用いる蛍光顕微鏡アプリケーションの場合、代表的な蛍光顕微鏡に比べてその構成がより複雑なものになります。あなたの仕様を検討するために、当社にご連絡ください。


フィルター製品群の中から選出された励起用/蛍光用バンドパスフィルター

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