解像力に基づくレンズの選定 – 上級
本ページはイメージングリソースガイドのセクション7.7です
レンズの焦点距離 (または固定倍率レンズの場合はPMAG) を一旦選定すれば、レンズの変調伝達関数 (MTF) 曲線を用いて、限界のシステム解像力が何であるかを判断することができます (解像力やコントラスト、MTFの定義に関する更なる情報は、解像力、物空間側の解像力、コントラスト、レンズ性能曲線、及び変調伝達関数 (MTF)とMTF曲線を参照)。 レンズのMTFは、作動距離やセンサーサイズ、Fナンバーや波長といったいくつかのファクターによって変化します。レンズサプライヤーは、レンズの使用条件に合わせたMTF曲線を用意することができます。例えば、Figure 1は、同じf=25mmレンズを同一の作動距離 (0.76Xの倍率になる) にした時の曲線ですが、Fナンバーと波長範囲は変えています。これが同じレンズだとは到底思えません! 重要なポイントは、仕様書上のMTF曲線を見るだけではその動作範囲全体のレンズ性能を適切に説明できず、特定条件時のMTF曲線になってしまうことです。
Figure 1: 高解像力25mmレンズを異なる条件にした時のMTF曲線。同じレンズでも、使用条件が変わってしまえば別物の曲線になってしまうことを端的に表す。
レンズのMTFに基づき、物空間側で解像可能な最小サイズを決定することができます。しかしながら、MTF曲線は常に像空間側での性能を規定しているため、像空間側の情報を物空間側のそれに変換しなければなりません。幸いなことに、これは倍率による変換で可能になります。次の例は、Figure 1の曲線を出発点としてこの計算を完結する方法を示します。この例ではコントラスト最小値を20%と仮定すると、上のレンズは像空間側で250本/mmを解像でき、これは20%コントラストに一致するMTF曲線上の空間周波数から見つけることで決定できます。式 1を使用して、ピクセルサイズ (あるいはこの例では空間周波数から像空間解像力を物体側に換算)は次のように計算されます:
そして倍率 (0.076X) で換算して、
これらを比較すると、Figure 1の下の曲線を持つレンズは、282μmサイズの物体を解像できることになります (上記の例と同じ計算を使用)。
また上の例では実際に使用するカメラ/センサーがまだ選定されていないと仮定していて、レンズをイメージングシステム内の制限因子にしています。カメラセンサーがレンズよりも前に選定されている場合は、レンズを使用するセンサーの画素サイズで解像できるようにしなければなりません。
上記の例を続けると、画素サイズ 3.45μmのソニー IMX250 センサーをカメラに選定した場合、式 1を用いて像空間解像力が144.9本/mmになることがわかります。MTF曲線を見ると、上のレンズは40%を超えるコントラストを達成していますから、殆どのアプリケーションに対して十分だと言えます。しかしながら、同じ計算を用いて物空間側に換算してみると、3.45μmの画素サイズは物空間側で45μmに対応するだけとなります。これは、レンズが26μmの物空間側解像力に対応可能な反面、センサーがシステムの制限因子になってしまうことを意味します。
こうした考察の全ては、適切なレンズをアプリケーションに応じて決定するために実行されなければなりません。これにより、マシンビジョンの問題に対する最善のソリューションを見つけることができるのです。レンズとセンサーのマッチングに関する更なる情報は、ピクセルサイズとオプティクスをご覧ください。
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