Edmund Optics® は当社ウェブサイトの技術サービス機能最適化のため、自社並びに第三者のクッキーを使用します。当社クッキーの取り扱いについて

  • マイアカウント
  •   
技術資料 / アプリケーションノート / オプティクス / 反射防止コーティング
反射防止コーティング
Edmund Optics Inc.

反射防止コーティング

本ページはレーザーオプティクスリソースガイドセクション4.3です

エドモンド・オプティクスは、TECHSPEC®ブランドの透過用光学素子全てに、複数の反射防止膜 (ARコーティング)を用意しています。反射防止膜は、透過率を増やす、コントラストを高める、またゴースト像の発生を取り除くことによって、光学素子の効率を大幅に改善させます。大抵のARコーティングは、機械的な面、また環境的な面の両方において、とても耐久性があります。この理由により、透過用光学素子が市販される場合、その大半には何かしらのARコーティングが付いています。お客様のアプリケーションに見合うARコーティングを特定するには、まずお客様が検討している光学系が必要とする波長範囲を十分に理解しなければなりません。ARコーティングは、光学系の性能を十分に改善する一方、コーティングの設計波長領域外の波長では光学系の性能を反対に落としてしまう場合があります。

なぜ反射防止コーティングを選ぶのか?

光が空気からコーティングしていないガラス基板を通過する時、フレネル反射によって、光の約4%が各境界面で反射されます。その結果、入射光の92%だけがガラスを透過することになり、多くのアプリケーションにおいてこれが大きな弊害になります (Figure 1)。反射する光が多くなると、スループットが減少して、レーザーアプリケーションにおいてはレーザー誘起損傷につながることがあるためです。システムのスループットを向上させ、光が反射してシステム内を逆方向に戻る危険性を低減し、またゴースト像の発生を低減するため、反射防止 (AR) コーティングが光学面に施されます。ARコーティングは、複数枚の透過型光学部品で構成されたシステムにとりわけ重要です。微弱光システムの多くは、光の効率的な使用を可能にするARコート付きオプティクスが使用されています。システムの多くに、光を効率的に利用するためのARコーティングを施したオプティクスが実装されています。

Figure 1: フレネル反射はあらゆる材料の境界面で起こる。反射光線の一部は、別の境界面に到達する度に更なるフレネル反射に遭遇する1
Figure 1: フレネル反射はあらゆる材料の境界面で起こる。反射光線の一部は、別の境界面に到達する度に更なるフレネル反射に遭遇する1

ARコーティングは、薄膜層の上側境界面と下側境界面で反射されるビーム間の相対的位相シフトが180°になるようデザインされています。反射された2つのビーム間で減殺的干渉 (Destructive Interference) が生じ、ビームが表面から出る前に2つのビーム同士が打ち消し合います (Figure 2)。オプティカルコーティングの光学的な膜厚はλ/4の奇数倍になる必要があり、この時のλは設計波長、即ち反射されたビーム間でλ/2の光路差を実現し、ピーク性能が得られるように最適化された波長です。これが実現すると、ビームが打ち消し合います。反射されたビーム同士が完全に打ち消し合うのに必要な薄膜の屈折率 (nf) は、入射媒質の屈折率 (n0) と基板の屈折率 (ns) を用いて次式のように求められます。

(1)$$ n_f = \sqrt {n_0 \, n_s} $$

Figure 2: どのコーティング層の屈折率と厚さも、あらゆる反射ビーム間で減殺的干渉 (Destructive Interference) を引き起こすために注意深く制御される
Figure 2: どのコーティング層の屈折率と厚さも、あらゆる反射ビーム間で減殺的干渉 (Destructive Interference) を引き起こすために注意深く制御される

反射防止用のVコートは、所定の設計波長 (DWL) を中心とする非常に狭い波長域内で透過率を向上させるようにデザインされたARコーティングの一種です。このコーティングタイプは「Vコート」と呼ばれます。なぜなら、透過率対波長の曲線がDWLで最小となる「V」字形になるからです。Vコートは、単一周波数や狭帯域なレーザー、或いは半値全幅 (FWHM) の狭い光源を用いる時、最大透過率を得るのに理想的です1。Vコートは一般的にDWLで0.25%未満の反射率が得られます。しかしながら、このコーティングの反射率曲線は局所的に見るとほぼ放物線状になっていて、DWLから少し外れるだけでも反射率が無視できない程度に大きくなります (Figure 3)。

Figure 3: 266nmで最大透過率が得られるように設計したレーザー単波長用Vコート
Figure 3: 266nmで最大透過率が得られるように設計したレーザー単波長用Vコート

Table 1は、EO標準のレーザー用Vコートの反射率と保証レーザー誘起損傷閾値 (LIDT) を表します。

Table 1: EO標準のレーザー単波長用Vコートの反射率スペックとレーザー誘起損傷閾保証値 – ご要望に応じて波長のカスタマイズにも対応
Table 1: EO標準のレーザー単波長用Vコートの反射率スペックとレーザー誘起損傷閾保証値 – ご要望に応じて波長のカスタマイズにも対応

光源の波長がDWLから外れると反射率が急速に増加するため、Vコートの付いた光学部品は、コーティングの意図するDWLそのものか、あるいはそれに非常に近い波長用になります。Vコートの興味深い特性に、反射率がその最適化したDWLとは異なるDWLの高調波 (例えば、λ0/2 やλ0/4) のところで極小値を取るために、透過率曲線の形状が半周期的になることがあげられます。Vコートは、通常2つのコーティング層から構成されます。単純なVコートはλ/4の膜厚の単層で構成可能ですが、バンド幅の調整のため、あるいは適切な屈折率のコーティング材料が利用できない場合は、複数の層が必要になります。多層膜コーティングは、様々な入射角に対応しますが、構造がより複雑で、より広いバンド幅を持つ傾向があります。Vコート層の厚さが不正確だと、コーティングの反射率が増加し、DWLが変わります。エドモンド・オプティクスのVコートは、通常0.25%より十分に小さい最小反射率が得られますが、全ての標準VコートをDWLで<0.25%の反射率で規定しています。これにより、コーティングの製造公差によって最小反射率が得られる波長がDWLから少しずれた場合でも、上述の規定した性能を得ることができます。

広帯域反射防止 (BBAR) コーティングは、より広い波長帯にわたり透過率を改善するようデザインされています。このコーティングは、広帯域光源や複数の高調波を出射するレーザーに共通して用いられます。BBARコーティングは、Vコートほど高い透過率を通常実現できませんが、そのより広い透過帯からより万能なコーティングです。レンズやウインドウを始めとする透過型光学部品への適用に加え、ARコーティングはレーザー結晶や非線形結晶の反射率の最小化にも用いられます。これは、空気と結晶の境界でフレネル反射が生じるためです1

広帯域反射防止 (BBAR) コーティングのオプション

エドモンド・オプティクスは、戻り反射を低減するために、TECHSPEC® ブランドのどのレンズにも誘電体膜のシングル (単層) ARコーティングをオプションでご用意しています。加えて、特注で単層コーティングや多層コーティング、Vコーティングや2Vコーティングも行います。標準在庫販売品のレンズと大口の特注レンズの両方に対応いたします。詳しくは、特注コーティングの項をご覧ください。

Figure 5: EO’s standard AR coatings for the visible spectrum
Figure 4: 反射防止コーティングの機能波長別早見表

MgF2シングルコート: MgF2 (フッ化マグネシウム) の単層膜 (λ/4の光学膜厚) を施した、エドモンド・オプティクス標準の反射防止膜中、最も標準的でシンプルなコーティングです。中心波長550nm (可視波長帯の中央の波長) でデザイン。MgF2の屈折率は550nmにおいて1.38。コーティング対象の硝材にも依存しますが、MgF2コーティングは一般に広帯域での使用に最適になります。

VIS 0° & VIS 45°マルチコート: VIS 0° (入射角0°用) とVIS 45° (入射角45°用) マルチコーティングは、425~675nmの波長帯で最適化した透過特性を有します。レンズ一面当たりの平均反射率を、各々0.4%と0.75%に減らします。VIS 0°コーティングは、可視光アプリケーションでは、MgF2単層コーティングよりも特性が優れます。

VIS-NIR マルチコート: 当社の可視~近赤外用広帯域反射防止コーティングは、特に近赤外で最大限の透過率 (>99%) が得られるよう最適化しています。

Telecom-NIR マルチコート: 当社のTelecom-NIR コーティングは、1200-1600nmまでの主要な光通信波長で特に機能するよう最適化した広帯域反射防止コーティングです。

UV & UV-VIS マルチコート: 当社の合成石英 (UVグレード) 製のレンズやウインドウ製品に適用される紫外用コーティングは、紫外域でのコーティング性能を高めます。

NIR I & NIR II マルチコート: 当社の近赤外用 (NIR) I と近赤外用 (NIR) II のARコーティングは、ファイバーオプティクスやレーザーダイオードモジュール、またLEDライトの主要な近赤外波長において卓越した性能を提供します。

EO標準のBBARコーティングのオプションをFigure 5、Figure 6、及びTable 2に紹介します。

Figure 4: Wavelength selection chart
Figure 5: EO標準の可視域用ARコーティング
Figure 6: EO’s standard AR coatings for the near infrared (NIR) spectrum
Figure 6: EO標準の近赤外 (NIR) スペクトル用ARコーティング
Table 2: Reflectivity specifications for EO’s standard BBAR coatings
Table 2: EO標準のBBARコーティングの反射率スペック

反射防止コーティングは、以下のTECHSPEC® オプティクス製品に採用されます:

参考文献

  1. Paschotta, Rüdiger. Encyclopedia of Laser Physics and Technology, RP Photonics, October 2017, www.rp-photonics.com/encyclopedia.html
このコンテンツはお役に立ちましたか?

コーティングは、光学的干渉の効果を通じて光の反射や透過を制御します。あなたの次期アプリケーションに向け、正しいコーティングを選定するのに役立つ基礎をお教えます。

UV, 可視, IRのスペクトルに対して複数の反射防止膜とデザインオプションを用意。枠なしや枠付き、非球面バージョンもラインナップ。

当社は、UVから可視、そしてIR波長まで、広帯域用, Vコート, 偏光, 金属膜, そして狭帯域バンドパスを始め、様々な単層や多層コーティングを用意しています。当社に何ができるかをご確認ください。

EOは、下は250nmから上は10μm超までの波長に対して高反射率な金属膜コーティングをご用意しています。どのコーティングがあなたの光学系にベストなのかを見つけましょう。

標準的な金属膜のミラー用コーティングでは、高強度放射のレーザーアプリケーションには耐えられないかもしれません。ハイパワー用コーティングがその解になります。

お見積りは必要ですか?

Edmund Optics Facebook Edmund Optics Twitter Edmund Optics YouTube Edmund Optics LinkedIn Edmund Optics Instagram

×