シリンダーレンズ

光学的パワーが一軸方向のみにあるレンズ

 

厳格に制御した光学的及び幾何学的公差

 

矩形状と円形状のものをラインナップ

 

性能別に3つのグレード: 照明用, イメージング用, ビーム整形用

 

特注依頼に向け社内で設計とコーティング対応

 

即納に向けた在庫体制

 

N-BK7, UVグレード合成石英, N-SF5 の硝材をラインナップ

 シリンダーレンズは、レーザーダイオードから出射される楕円ビームの真円化や発散するビームのリニア状ディテクターアレイへの集光、また計測システム向けのライトシート生成やレーザーラインビームの面投影を始め、広範なレーザーアプリケーションになくてはならないパーツです。球面レンズと同様、光を収束したり発散したりするのにレンズの曲面を用いますが、シリンダーレンズの光学的パワーは一軸方向にしかなく、その軸と直交する方向にはレンズとしてのパワーが存在しません。エドモンド・オプティクスは、アクロマティック、非球面 (アシリンドリカル)、平凸、平凹のレンズ形状を始めとするシリンダーレンズ製品のプレミアサプライヤーです。

共通するアプリケーション

 シリンダーレンズに最も共通する3つのアプリケーション: レーザーラインやレーザーシート光の形成、及びレーザービームの真円化を紹介します。

Collimated light and a PCX cylinder lens
x =  (
d
EFL
) L

作動距離: EFL + L

Collimated light and a PCV cylinder lens
x =  (
d
EFL
) (L + EFL)

作動距離: L

レーザーライン

 一台のレーザーと一枚のシリンダーレンズにより、一軸方向に対してθの発散角で拡がるレーザーラインを形成することができます。

Laser Line

 レーザーラインを形成する際に最も重要となるパラメータは、ラインの長さ x と作動距離 (照射距離) です。作動距離は、レンズからライン投影面までの距離です。形成するレーザーラインを計算するのに用いる公式は、使用するシリンダーレンズが平凸か平凹なのかで変わります。

Figure 1 (左上): コリメート光と平凸シリンダーレンズ
Figure 2 (左下): コリメート光と平凹シリンダーレンズ
Two PCX cylinder lenses used to form a light sheet

ライトシート

 2つの軸方向において発散角の大きさが異なるライトシートは、コリメート光を発する光源と焦点距離の大きさが異なる2枚のシリンダーレンズを用いることで形成することができます。焦点距離の大きさの比は、必要とするライトシートの高さ方向と幅方向の比 (X軸とY軸方向の発散角の比) とおおよそ同じになります。使用する公式は、レーザーラインで用いたそれと同じになりますが、X軸とY軸各々を独立させて公式に当てはめます。使用する2枚のシリンダーレンズはどちらも曲面側を光源に向け配置し、互いの光軸は90°直交させた状態で配置しなければなりません。

Figure 3: 2枚の平凸シリンダーレンズを用いてライトシートを形成
Two PCX cylinder lenses forming a light sheet

楕円ビームの真円化

 コリメーターレンズを実装していないレーザーダイオードは、ビームが非対称なパターンで拡がっていきます。これに球面オプティクスを用いてコリメートを試みたとしても、真円状のビームを得ることはできません。なぜなら、レンズが両方の軸方向に同時に機能してしまい、元の非対称性が維持されるからです。この時、シリンダーレンズ2枚を直交させて使用すると、各軸を独立して取り扱うことが可能になります。

 対称な出射ビームを得るには、2枚のシリンダーレンズの焦点距離の大きさの比が、X軸とY軸方向でのビーム拡がり角の比と一致しなければなりません。ダイオードは、両方のシリンダーレンズの焦点上に配置され、レンズ間の間隔は2枚の焦点距離の大きさの差の分だけ離さなければなりません。各レンズでの最大ビーム幅 (直径) は、以下の公式を用いて計算することができます。

d =  2f(tan(
θ
2
))

 レンズの焦点距離 (f) とその軸でコリメートしているビームの拡がり角 (θ) を用いることで、最大のビーム幅 (d) が計算できます。この時。各レンズの有効径は、対応する最大ビーム幅よりも大きくしなければなりません。

Figure 4: 2枚の平凸シリンダーレンズを用いて楕円ビームを真円化

選定ガイド

 エドモンド・オプティクスは、シリンダーレンズを円形、矩形、或いは矩形縦長状の外形寸法でご用意しています。反射防止コーティングも、UV-AR, UV-VIS, MgF2, VIS-NIR, VIS 0°, NIR I, NIR II を始めとする紫外から赤外用まで、複数のオプションをラインナップします。アクロマティックシリンダーレンズは、色収差を最小化することで、色補正も可能にしています。完全な光学設計データが、2Dや3D図面のデータとともにダウンロード可能です。

製品群波面精度表面品質 (キズ-ブツ)ウエッジ公差製品ラインナップの広さ色補正価格
照明用 シリンダーレンズ 規定なし
GOOD
規定なし
Absolute Best
なし
 
イメージング用 シリンダーレンズ
BETTER
GOOD
BETTER
BETTER
なし
  
ビーム整形用 シリンダーレンズ
BEST
BEST
BEST
BEST
なし
   
非球面シリンダーレンズ (アシリンダーレンズ)
BETTER
GOOD
GOOD
GOOD
なし
     
アクロマティックシリンダーレンズ
GOOD
BETTER
BETTER
GOOD
あり
    
照明用 シリンダーレンズ
Illumination Cylinder Lenses

 照明用 シリンダーレンズは、EOが販売する中でも最も経済的なオプションです。サイズや焦点距離別に最も豊富にラインナップしますが、厳しい性能公差は持ちあわせていません。本製品群は、予算に制約のある照明用アプリケーションに最適です。 製品を見る

メリット:

  • サイズや焦点距離別に広範なオプション
  • 費用対効果が最も高い

デメリット:

  • 波面スペックの規定なし
  • 幾何学的公差に制限あり
イメージング用 シリンダーレンズ
Imaging Cylinder Lenses

 イメージング用 シリンダーレンズは、照明用のシリンダーレンズに比べて良好な波面精度とウエッジ公差があります。しかしながら、表面品質的には同じで、サイズや焦点距離別オプションも豊富ではありません。レーザーラインやレーザーシート光の生成に最適です。 製品を見る

メリット:

  • 性能と価格のバランス

デメリット:

  • サイズが 10 x 20mm 以下に限定
ビーム整形用 シリンダーレンズ
Beam Shaping Cylinder Lenses

 ビーム整形用 シリンダーレンズは、厳格に制御された公差に大量実装向けの最適価格を組み合わせます。レーザーダイオードから出射された楕円ビームの真円化や計測システム用のライトシートの生成、またレーザーラインビームの面投影といったビーム整形アプリケーションに最適です。 製品を見る

メリット:

  • 波面精度や表面品質、ウエッジを含む光学的公差を厳格に制御
  • 平面軸ウエッジ、パワー軸ウエッジ、軸ツイストの幾何学的公差を厳格に制御
  • 理想的な価格と品質のバランス

デメリット:

  • 照明用 シリンダーレンズより高価
非球面シリンダーレンズ (アシリンダーレンズ)
Acylinder Lenses

 非球面シリンダーレンズ (アシリンダーレンズ) は、非球面の採用により球面収差を大きく減らします。回折限界性能で、単色光源のラインプロファイルを作るのに理想的です。 製品を見る

メリット:

  • 回折限界デザインにより、非常にシャープで薄いレーザーラインが生成可能

デメリット:

  • 最も高価なシリンダーレンズオプション
  • 色収差が残る
アクロマティックシリンダーレンズ
Achromatic Cylinder Lenses

 アクロマティックシリンダーレンズは、正の低屈折率エレメント (クラウンガラス) と負の高屈折率エレメント (フリントガラス) 接合して一体化し、色収差と球面収差を最小化します。その色補正能力から、広波長帯域光源との使用に理想的です。 製品を見る

メリット:

  • 広波長帯域光源との使用を可能にする色収差補正
  • 薄いレーザーラインの生成を可能にする球面収差補正

デメリット:

  • 他の多くのシリンダーレンズオプションより高価
  • サイズや仕様のオプションが限定的

よくある質問 (FAQ)

FAQ  EOのシリンダーレンズはどの波長域に対応する?
 UV-AR, UV-VIS, MgF2, VIS-NIR, VIS 0°, NIR I, NIR II を始め、全体で250nmから1550nmまでの紫外から赤外用までに対応する複数の反射防止コーティングをラインナップします。また200nmから2500nmまでの波長に対応する未コート品のレンズも用意します。
FAQ  レンズの硝材は何が使われている?

 EOのシリンダーレンズは、N-BK7、UVグレード合成石英、N-SF5、N-SF11といった硝材で作られます。

FAQ  アクロマティックシリンダーレンズと標準的な平凸シリンダーレンズの違いは何?

 平凸シリンダーレンズは一つの基板材料を用いるのに対し、アクロマティックシリンダーレンズは複数の基板材料を用いて球面収差や色収差を補正しています。アクロマティックシリンダーレンズは、薄いラインプロファイルが不可欠な一軸方向だけの倍率変化を必要とするアプリケーションに最適です。同レンズは、像面での球面収差や色収差の大きな低減など、従来のシリンダーレンズに比較して幾つかの性能的メリットがあります。LED光源に用いる時、アクロマティックシリンダーレンズはそのライン生成に理想的です。代表的アプリケーションに、LED照明光源を用いたライン生成やLEDベースのスキャンニングデバイスでの優れた一点集光があります。アクロマティックシリンダーレンズを用いた一点集光ラインと、標準的な平凸シリンダーレンズを用いた同ラインの比較を以下に図解します。

FAQ  楕円ビームを真円化するには、シリンダーレンズとアナモルフィックプリズムペアのどちらを用いるのがいい?
 アナモルフィックプリズムペアとシリンダーレンズのどちらも一軸方向のみのビーム修正を行うのに用いられます。しかしながら、両者にはいくつかの違いがあります。
  • アナモルフィックプリズムペアはより狭いスペースに設置できる
  • シリンダーレンズは、収差によってビームの強度分布の一定さに影響を及ぼす場合がある
  • シリンダーレンズは、出射ビームが位置ずれしない

参考資料

アプリケーションノート

 理論的説明や公式、図解などを網羅した技術情報やアプリケーション実例です

シリンドリカルレンズを使用する際の考察
読む  

シリンダーレンズとは?
読む  

アクロマティックシリンダーレンズをなぜ選ぶ?
読む  

映像情報

 シンプルなヒントから製品のメリットを紹介するアプリケーションベースの実演までを網羅したビデオコンテンツです。

シリンダーレンズ製品レビュー
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