Eyetech

ケーススタディ:
EyeTech社とEdmund Opticsが
いかにして障害者の自立を支援しているか

未来は、アイトラッキングなどの新しく高度な知覚技術に委ねられている。こうした技術によって、身体もしくは神経系の障害をもつ人々はより容易にコミュニケーションや電動車椅子の操作が行え、自立した生活を取り戻すことができる。

アイトラッキング: 移動を可能にし
生活の質を向上させる

Robert Chappell は、声を利用してコンピューターのキーボードをタイプし、目を利用してマウスを動かします。Robertは、腕と手の両方に重傷を負った後、通常のマウスとキーボードの使用ができなくなり、彼個人の利用目的で最初のWindowsベースの視線制御用コンピューター用マウスを開発しました。20年経った今、Robertが創立者兼最高技術責任者 (CTO) を務めるEyeTech社は、アイトラッキング用の業務用アルゴリズム、ハードウェア、ソフトウェアを開発しています。現在、EyeTech社は、世界中で10,000名を超える利用者が自立を取り戻せるよう支援しています。

自社のアイトラッカーに小型で高品質のイメージングレンズが必要であることを認識していたEyeTech社は、Edmund Optics® (EO) のM12 (Sマウント) イメージングレンズを探し当てました。EyeTech社がリリースしたいくつもの製品に対して、EOはその幅広い在庫品のラインナップの中から、同社の設計仕様や要件に対応する高性能なM12マウントレンズを提供してきました。  

「現在、全世界で10,000名を超える利用者が、EyeTechのアイトラッカーを頼りに、目の動きでコミュニケーションを取り、自分の環境や好みのPCアプリのコントロールを行い、自立を取り戻しています。」
- Keith Jackson; Director of Sales & Marketing

障害を持つ人々の活力に

EyeTech社のアイトラッキング技術を利用したもっとも革新的なアプリケーションの一つは、身体もしくは神経系の障害をもつ人々の生活の質 (QOL) を向上させ、移動を可能にしたことです。疾病対策予防センター(CDC)の2016年のレポートによると、米国の成人の約16.1%が身体機能に何らかの障害を持っています。1 また、全米脊髄損傷統計センターは、対麻痺や四肢麻痺に至る脊髄損傷の事例が毎年新たに約11,000件発生していると報告しています。2 これらの統計データは、通常の枠組みを超えた移動手段の必要性を大いに示しています。Windows 10には、現在、設定メニューの「簡単操作」 (Ease of Access) に「視線制御」 (Eye Control) と呼ばれるEyeTech社のアイトラッキングソフトウェアの一つが搭載され、対応するアイトラッキングハードウェアで使用できるようになっています。EyeTech社はザイリンクス社のプロセッサーであるZynqファミリーを活用して、電動車椅子を動かすことやコミュニケーションをとることが困難な人たちが利用できるスタンドアロン製品も開発しています。  

外傷性脳損傷の診断

更に、EyeTech社は、他の多くの興味深い業界に向けて、EyeTech社以外のハードウェアシステムにアイトラッキング技術を実装している複数のグループや企業に同社のソフトウェアのライセンス供与を行っています。また、カナディアンフットボールリーグ、ナショナルホッケーリーグ、メジャーリーグサッカーなどの組織は、King-Devick 検査 (K-D) の実施にEyeTech社の技術を用い、目の動きが事前に設定した正常値からどの程度逸脱しているかを観察することによって、所属選手の外傷性脳損傷 (TBI: 脳震盪のもっとも一般的な障害) の疑いを分析できるようにしました (Figure 1)。

Figure 1: King-Devick 検査 (検査用パターンに沿って目を動かす検査) で利用者の目の動きを追跡することで、頭部もしくは脳の損傷を検査することができる。

ヒトの皮質の50%以上は視覚情報の処理に使用されています。現在、アイトラッキングは脳についての洞察を深めるための迅速かつ非侵襲な方法として利用されています。3 しかし、スポーツ選手だけが必ずしも脳の損傷を受ける対象とは限りません。CDCは、2002年~2006年の間に毎年約170万人が外傷性脳損傷 (TBI) を受けており、米国における外傷に起因する死亡原因の約1/3をTBIが占めていると報告しています。4 脳震盪の発見に加え、アイトラッキングは他の神経学的疾患についても非常に正確な診断ができることがわかっています。アリゾナ州立大学とボストン大学のグループは、パーキンソン病やアルツハイマー病の兆候の評価にもこの技術を利用しています。5, 6

EyeTech社のアイトラッキング技術は、虹彩認証、ウェブサイトの有用性試験のほか、スマートフォン、タブレット、テレビ、券売機、VR/ARヘッドセットなどのデバイスへの実装やスーパーボールのCMの分析など、他の幅広いアプリケーションにも採用される可能性があります。  

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Edmond Opticsとの提携

EyeTech社は、リードタイムとコストを抑えるため、同社のアイトラッキングハードウェアにEdmond Optics (EO) の標準在庫品を利用しました。EOは34,000品目以上の光学部品を在庫し、ご注文の96%以上は当日処理を行っているため、EyeTech社のような企業は必要な部品を可能な限り迅速に入手することができます。在庫品がお客様の特定ニーズに合わない場合は、在庫光学部品に二次加工を施し2~3週間以内にお届けすることができます。また、完全特注のオプティクスを製造して仕様に完全にマッチさせることもできます。EyeTech社のハードウェアとソフトウェアについての詳細、もしくは同社のアイトラッキングに対するアプローチやお客様のアプリケーションにおけるアイトラッキング活用の可能性については、EyeTech社のウェブサイトをご覧ください。  

参考文献

1. Summary Health Statistics: National Health Interview Survey, 2016, Table A-6, U.S. Department of Health and Human Services, Centers for Disease Control and Prevention, National Center for Injury Prevention and Control, 2016.

2. Gorgey, Ashraf, and David Gater. "Prevalence of Obesity After Spinal Cord Injury." Topics in Spinal Cord Injury Rehabilitation, vol. 12, no. 4, 2007, pp. 1–7., doi:10.1310/sci1204-1.

3. Hagen, Susan. "The Mind's Eye." Rochester Review, vol. 74, no. 4, 2012.

4. Traumatic Brain Injury in the United States, U.S. Department of Health and Human Services, Centers for Disease Control and Prevention, National Center for Injury Prevention and Control, 2016.

5. Hayley Ringle. "Scottsdale Eyes ASU Spinoff Tech to Detect Alzheimer's, Cerebral Palsy and Other Diseases." Bizjournals.com, The Business Journals, 11 Feb. 2015, www.bizjournals.com/phoenix/blog/techflash/2015/02/scottsdale-eyes-asu-spinoff-tech-to-detect.html.

6. Wu, C C, et al. "Eye Movement Control during Visual Pursuit in Parkinson's Disease." Current Neurology and Neuroscience Reports., U.S. National Library of Medicine, 22 Aug. 2018, www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30155357.

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