不要な迷光を最小化する!

 

一定量の光は従来の誘電体ミラーを通過

 

不要な透過光はノイズとなり、レーザーシステムの安全性が低下

 

Schwarz ブラックミラーの不透明な基板がこの不要な光を吸収

 

特別に設計された合成石英基板は合成石英の主な特性を保持

レーザーシステム内の不要な光の透過を防ぐためには、各誘電体ミラーの後ろにビームポケットを配置することがあります。誘電体ミラーは高反射率ではありますが、そのコーティングからは常に微量の光が漏れています。この不要な透過は、ミラーの基板を直接通過したり、基板内でゴースト反射を起こしたりするため、レーザーシステムの性能を低下させ、さらにはレーザーの安全性の問題を引き起こすこともあります。

エドモンド・オプティクスの新しいSchwarz ブラックミラーは、部品の背後に設置するビームポケットの必要性を大幅に削減することができます。このミラーは、特別に設計された不透明な合成石英基板を採用した新しい光学部品です。この合成石英基板は、ミラーの反射特性を98%以上に維持しながらミラーを透過する光の伝播を数桁も減少させます。この基板そのものは黒く見えますが(schwarzという言葉はドイツ語で「黒」の意味)、合成石英の特性は維持されています。Schwarz ブラックミラーを使用することによって、光学系のサイズを小型化することが可能です。また、レーザーの迷光を排除することによって安全性も向上します。

従来のミラーは何が問題なのか?

入射したレーザー光の大部分は、その波長用に設計された誘電体ミラーコーティングで反射されますが、ある程度の光は常にコーティングを透過して基板に入射します。合成石英などの一般的なミラー基板では、この光がミラーの裏側から移動したり、ゴースト反射を起こすなどして、システムに迷光を持ち込むことがあります。また、ミラーの反射帯域の外側にある波長もミラーを通過し、システムノイズの原因となり、システムの性能を低下させる可能性があります。

Schwarz ブラックミラーの一番の特徴は?

Schwarz ブラックミラーは、高いレーザー誘起損傷閾値(LIDT)と合成石英の低熱膨張を維持しながら、不要な光の透過を遮断する設計の合成石英でできています (Figure 1)。熱膨張係数は0.55x10-6/Kで、不透明、そしてNDフィルターとして機能します。

Figure 1: Schwarz ブラックミラーの合成石英基板 (左) は従来の合成石英基板 (右) の高いLIDTと低い熱膨張係数を維持しながら、ミラー基板を透過して裏面から出てしまう不要な光を吸収する利点も備えている。

Schwarz ブラックミラー: 不要な透過を遮断する

Figure 2 はSchwarz ブラックミラーの合成石英基板のすぐれた遮光性能を示しています。これによって、ミラーの背後にビームポケットを設置する必要が無くなり、システム全体のコスト、重量、サイズを抑えることができます。

Figure 2: 従来の合成石英製誘電体ミラーはレーザー光が裏面から漏れている (上)。しかし、厚さ、径、コーティングが同じSchwarz ブラックミラーは不要な光がミラーを透過するのを防いでいる (下)。

Schwarz ブラックミラーの試験

Schwarz ブラックミラーの性能を評価するために、直径25 mm、厚さ5 mmの黒色の合成石英基板のブランクを切り出し、片面を研磨しました。 出力500mWの532nm 半導体レーザー励起固体(DPSS)連続波レーザーと、500nWまで測定可能なシリコンベースのフォトダイオードを用いて、10nWの分解能で材料の透過量を測定しました。信号は何も検出されませんでした。これは透過率7を意味します。

このブランクを4 mm、3 mm、そして最終的には2 mmまで薄くして研磨し、記録可能な透過率を得ることで、材料の可視光減衰能力をさらに理解することができました。ODを9まで測定可能なロックインアンプを使用して、2 mmの試料でも可視光の範囲では透過を確認することができませんでした。

次に、同じレーザーとフォトダイオードを用いて、Schwarz ブラックミラーと合成石英基板を用いた従来の誘電体ミラーを比較しました。いずれのミラーも直径 25 mm、厚さは5 mmで、532 nm用に設計された高反射誘電体コーティングが施されています。レーザーは137 mWまで減衰され、Figure 2に示されている通り45°の角度でミラーに入射します。フォトダイオードは、反射と透過を決定するためにミラーの前と後ろの両方で測定値を記録しました。Figures 3および4は2つの異なるSchwarz ブラックミラーのサンプルと2つの一般的な合成石英ミラーのサンプルを組み合わせたデータで、それぞれ5回測定が行われました。

Figure 3: Schwarz ブラックミラーは従来の誘電体ミラーに比べて反射率がほぼ変化していない。
Figure 4: Schwarz ブラックミラーは従来のミラーによりもはるかに高い光学濃度 (OD) を有している。

各ミラーから12.7 mm (near) および 304.8 mm (far) の距離で5分間にわたり反射強度を測定しました。 平均すると、Schwarz ブラックミラーは304.8 mmで入射光のうち118.2 mW を反射しました。これは、従来の合成石英ミラーの反射性能である98.7% (119.6 mW) に匹敵するものでした。ほとんどのシステムで、Schwarz ブラックミラーは反射性能に顕著な変化を与えることなく、従来の合成石英ミラーを置き換えることができます。

透過率は、ミラーの後方、入射光と同軸で304.8 mm離れた位置で測定されました。従来の合成石英のサンプルは84 µW以上の光を透過しましたが、Schwarz ブラックミラーではこの光源では透過率は測定できませんでした。これは、フォトダイオードの閾値である500 nWを下回っていたことを意味します。

エドモンド・オプティクスのSchwarz ブラックミラー

TECHSPEC

Schwarz ブラックミラー

  • 透過もれなしで >98%の可視光反射率
  • 可視スペクトルで >7.0の光学濃度
  • 高度に吸収するよう設計された合成石英基板

FAQ

FAQ  Schwarz ブラックミラーの特別な合成石英基板によって従来の合成石英ミラーよりも高価になる?
はい。Schwarz ブラックミラーは従来の合成石英ミラーよりも若干高額ですが、ミラーの背後にビームポケットを配置する必要がありません。そのため、システムの全体コスト、重量、サイズは大幅に削減できます。
FAQ  エドモンド・オプティクスは異なるサイズや波長範囲のSchwarz ブラックミラーを特注で製造できる?

はい。Schwarz ブラックミラーは特注で異なるサイズやコーティングオプションでの製造が可能です。ただし、基板が薄くなると光学濃度の仕様は低下することにご留意ください。

技術資料

アプリケーションノート

理論的説明や公式、図解などを網羅した技術情報やアプリケーション実例です。

高反射コーティング
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一般的なレーザーオプティクス材料
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Key Parameters of a Laser System
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UV vs. IR Grade Fused Silica
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光学ガラス
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レンズコバ面の墨塗り加工
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動画

簡単なヒントからアプリケーションベースのデモに至るまで、企業や製品に関する動画情報です。

Introduction to Laser Optics Lab 
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エドモンド・オプティクスの計測:製造の主要な要素としての測定 
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Schwarz Mirrors –
TRENDING IN OPTICS: EPISODE 4 
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ウェビナー

オプティクスやイメージングの広範なテーマに関する、エドモンド・オプティクスの専門スタッフによる録画ウェビナーです。

High Reflectivity Mirrors for Laser Applications
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