ボールレンズの理解
エドモンド・オプティクス・ジャパン株式会社

ボールレンズの理解

ボールレンズは、光ファイバーや光エミッター、光ディテクター間の信号カップリングを改善するのに威力を発揮します。またエンドスコープやバーコードスキャンニング、非球面レンズ製造用のプリフォームレンズ、センサーアプリケーションにも用いられます。ボールレンズは、単一硝材から作られ、入射光源との相対的位置関係により、光を一点集光したり、コリメートしたりすることができます。 半球レンズも、ボールレンズと同様に共通して用いられる光学素子で、ボールレンズでは物理的な制約があり、よりコンパクトな光学系を必要とするアプリケーションに、ボールレンズの代わりとして用いることができます。

ボールレンズを使用する際に不可欠な公式

ボールレンズを使用する際、理解しておく必要があるパラメーターが5種類あります (Figure 1): 入射ビーム径 $ \small{\left( d \right)} $、ボールレンズの直径 $ \small{\left( D \right)} $、ボールレンズの焦点距離 $ \small{\left( \text{EFL} \right)} $、ボールレンズのバックフォーカス $ \small{\left( \text{BFL} \right)} $、そしてボールレンズの硝材の屈折率 $ \small{\left( n \right)} $です。

Key Parameters
Figure 1: 鍵となるパラメ-タ

$ \small{\text{EFL}} $ の計算式 (下記式1)は、とてもシンプルです。なぜなら、レンズの直径 $ \small{\left( D \right)} $と硝材の屈折率 $ \small{\left( n \right)} $の2つの変数しか存在しないためです。$ \small{\text{EFL}} $は、Fig 1のRで示されたレンズの中心から測られます。$ \small{\text{BFL}} $ の計算式 (下記式2)は、$ \small{\text{EFL}} $と$ \small{D} $の値が一旦わかると、簡単に計算されます。開口数 $ \small{\left( \text{NA} \right)} $の大きさ (下記式3)は、$ \small{\text{EFL}} $と$\small{d}$の変数に依存します。これは、$ \left( \frac{d}{D} \right) $の比率にも依存することを意味しています。

(1)$$ EFL = \frac {nD}{4 \left(n-1\right)} $$
(2)$$ BFL = EFL- \frac{D}{2} $$
(3)$$ NA=n_m\sin {\theta} = \frac {1}{\sqrt{1+4\left(\frac{nD}{4d\left(n-1\right)}\right)^2}} $$

 

ボールレンズは光ファイバーに用いられることが多いことから、$ \small{\text{NA}} $の値を参考にするケースがよくあります。Fig.2のグラフは、$ \left( \frac{d}{D} \right) $の値が増えるほど、ボールレンズが持つ$ \small{\text{NA}} $の大きさも増えることを表しています。またグラフに示す球面収差を加味したシミュレーション結果から、レンズに用いる硝材の屈折率の値が低いほど、得られる$ \small{\text{NA}} $の値は逆に高くなります (同一の$ \left( \frac{d}{D} \right) $時)。これは、屈折率の低い硝材で作られるボールレンズには、レンズの球面収差が相当量含まれていることを端的に表しています。

(4)$$ NA = \frac{2d\left(n-1\right)}{nD} $$

 

Numerical Aperture vs. Diameter for Ball Lens Glass Types offered by Edmund Optics®
Figure 2: ボールレンズの開口数$ \small{\text{NA}} $と$ \left( \frac{d}{D} \right) $の関係 (硝材別) - Edmund Optics®提供

アプリケーション例

例 1: レーザーからファイバーへのカップリング

レーザー光源から光ファイバーへ光をカップリングする場合、使用するボールレンズの選定は、ファイバーが持つ$ \small{\text{NA}} $とレーザービーム径 (或いは入射光源のビーム径)の大きさに依存します。レーザービーム径は、ボールレンズに必要な$ \small{\text{NA}} $を決定するのに用いられます。ボールレンズに必要な$ \small{\text{NA}} $の大きさは、ファイバーの$ \small{\text{NA}} $と同じか、それ以下にしなければなりません。仮に大きな$ \small{\text{NA}} $を持ったボールレンズを選んだ場合、レンズを通してファイバーに入射した光量の一部は、ファイバーのコア内を全反射しながら伝搬していかないため、結果的に光の伝送ロスに繋がります。なおボールレンズは、Figure 3に示すように、ファイバー端面にほぼ接するように配置するのが基本です。

Laser to Fiber Coupling
Figure 3: レーザーからファイバーへのカップリング

初期条件
入射レーザービーム径 = 2mm
ボールレンズの屈折率 = 1.517
使用光ファイバーのNA = 0.22

計算方法
ボールレンズの直径

N-BK7製ボールレンズ (屈折率は1.517)の場合、直径6~8mmのサイズが上述の初期条件に最適な大きさとなります。誰もが、異なる大きさの屈折率を用いて、このアプリケーション例に最適なボールレンズを簡単に見つけ出すことができます。

例 2: ファイバー同士のカップリング

ファイバーから別の同じ$ \small{\text{NA}} $を有するファイバーへ光をカップリングする場合、同一のボールレンズを2個使用します。Figure 4に示した通り、ボールレンズ間はエアコンタクトの状態で配置するのが基本です。また2本のファイバーの$ \small{\text{NA}} $の大きさが同じ場合は、例1に示した計算方法がそのまま使用できます。

Fiber to Fiber Coupling
Figure 4: ファイバー同士のカップリング
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