シリンダーレンズとは?
Edmund Optics Inc.

シリンダーレンズとは?

レーザーラインジェネレーターの構築 | 楕円ビームの真円ビーム化 | 選定ガイド

シリンダーレンズ (シリンドリカルレンズ)とは、”シリンダー (円筒)状の”形をしたレンズのことで、蒲鉾型をしたレンズのことを指します。レンズの入射面 (二次元)をX軸とY軸の2つの成分に分けて考えた場合、通常の球面レンズであれば、どちらの軸にも同じ大きさの曲率があります。これに対しシリンダーレンズの場合は、片側の軸のみにレンズとして作用する曲率があり、他方の軸には曲率がありません。そのため物体の一方向成分のみがレンズとして作用し、像が拡大/縮小されます。シリンダーレンズの代表的用途として、レーザー光をライン状に変換する用途 (レーザーラインジェネレーター)や、スリットの開口上やラインセンサー上に光を集光させる用途があります。また画像処理用途では、像の一軸方向のみの高さを拡大/縮小する場合や、非点収差の補正に利用されます。

Plano-Convex Circular Cylinder Lens
Figure 1: 平凸 – 矩形 or 円形状のシリンダーレンズ
Plano-Convex Rectangular Cylinder Lens
Figure 2: 平凸 – 矩形状のシリンダーレンズ
Plano-Convex Oblong Cylinder Lens
Figure 3: 平凸 – 矩形縦長状のシリンダーレンズ

レーザーラインジェネレーターの構築

シリンダーレンズでレーザーラインを形成する場合に、どの焦点距離のレンズを選定したらよいかがわからないといったご質問があります。例えばL (cm)先に全長X (cm)のラインを形成したい場合、シリンダーレンズに求められる放射角θ (全角)は、次式により求められます。

(1)$$ \theta = 2 \cdot \tan^{-1}{\left( \frac{x}{2 \, L} \right)} $$

 

放射角θは、与えられた作動距離 (照射距離)におけるラインの長さを決定するのにも用いることができます。

(2)$$ x = 2 \cdot L \cdot \tan{\left( \frac{\theta}{2} \right)} $$

 

Visual Illustration of Equations 1 – 2 for Creating a Laser Line Generator
Figure 4: レーザーラインジェネレーターを構築する際の公式(1)と(2)の図解

これにより、シリンダーレンズに必要な焦点距離EFLは、入射ビーム半径$ \small{ \left( \frac{d}{2} \right) } $とする時、以下の式で計算できます。

(3)$$ \frac{d}{2} = \text{EFL} \cdot \tan{\left( \frac{\theta}{2} \right)} $$

 

Visual Illustration of Equation 3 for Calculating Effective Focal Length
Figure 5: レンズの焦点距離に関する公式(3)の図解

 

楕円ビームの真円ビーム化

一般にダイオードレーザーは、その構造から楕円形状のレーザービームを出射します。光学的用途に用いる場合、楕円ビームよりも真円形状のビームの方が通常は好まれます。楕円ビームを真円ビームに補正するのにいくつかの方法がありますが、シリンダーレンズを用いた補正方法は、その中でも広く行われている方法の一つです。

例えば、長軸長が4.0mm、短軸長が1.0mmの楕円ビーム形状を真円ビーム化する場合、短軸側の1.0mm側のみを4倍拡大し、最終的にφ4.0mmの真円コリメートビームが得られるシリンダーレンズ2枚の光学系が考えられます。前段のレンズの焦点距離を$ \small{ f_1 }$、後段のレンズの焦点距離を$ \small{ f_2 }$とした時、その拡大率 (Mag)は次式により求められます。

(4)$$ \text{Mag} = \frac{f_2}{f_1} $$

 

この時、2枚のシリンダーレンズの曲率の向きとダイオードレーザーのビーム短軸側の向きを全て一致させる必要があります。これにより、ビームの長軸側の方は、一切拡大/縮小されずに、2枚のレンズをスルーすることができます。この4倍光学系の一例として、φ25 x f-25mmの平凹レンズ (#46-196) と、φ25 x f100mmの平凸レンズ (#46-018)の組み合わせがあります。凸レンズ2枚の組み合わせでも4倍の光学系は可能ですが、凹レンズと凸レンズの組み合わせは、光学系の全長をより短くできるという利点があります。いずれの組み合わせにおいても、2枚のレンズの焦点位置は必ず一致させる必要があります。

4倍に拡大したことにより、楕円ビームを真円ビームに補正するだけでなく、レーザーのビーム拡がり角も拡大率の逆数の1/4倍にすることができます。これはビームエキスパンダー光学系に他なりません。シリンダーレンズ2枚の組み合わせにより、楕円ビームを真円ビームに補正できるだけでなく、より指向性の高いレーザー光も得ることが出来る訳です。

アプリケーションに合わせて正しいシリンダーレンズを選定するために、Table 1に紹介した選定ガイドをご活用ください。

シリンダーレンズ選定ガイド

Table 1: シリンダーレンズ選定ガイド
タイプ機能波長域代表的アプリケーション
ファースト軸コリメーター 0.8 – 1.0μm 高出力レーザーダイオードアレイのコリメート
照明用 平凸シリンダーレンズ 0.4 - 1.6μm レーザービームのライン化や真円化
合成石英製シリンダーレンズ 0.2 - 2.2μm 耐環境や高出力光源用
アクロマティックシリンダーレンズ 0.4 - 1.0μm 広帯域光源のラインプロファイル形成
プラスティックハイブリッド・シリンダーレンズ 0.4 - 1.6μm 広帯域光源のラインプロファイル形成
照明用 平凹シリンダーレンズ 0.4 - 1.6μm ビーム拡大
シリンドリカルマイクロレンズアレイ 0.2 - 2.2μm ビームホモジナイゼーション
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