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High Reflectivity Mirrors


超短パルスレーザーのパルス圧縮や分散補償に

 

とりわけ短いパルスを出射する超短パルスレーザーは、波長スペクトルが他のほとんどのレーザーのそれよりも広くなる

 

顕微鏡用対物レンズなど、光学部品における分散はパルスの持続時間を伸ばすため、超短パルスレーザーのアプリケーションに弊害あり

 

誘電体コーティング付き高分散超短パルスミラーは、コンパクトでアライメント不要の広帯域分散補償に最適なソリューション

 

この高分散で低損失のミラーは、チャープパルス増幅器などのパルス圧縮アプリケーションに用いられる

超短パルスレーザーは、持続時間がピコ秒、フェムト秒、あるいはアト秒の非常に短いパルスを出射します。パルス持続時間の下限に到達したフーリエ変換限界パルスは、ハイゼンベルグの不確定性原理によって、相当の波長の拡がりをもつ広い帯域幅を有します (Figure 1)。この広い帯域幅の分散は、対物レンズ、ウィンドウ、レンズなどの光媒体を透過する際、超短パルスのパルス持続時間を拡げてしまうため、分散補償が超短パルスレーザーアプリケーションの重要なポイントになります。

3D printed mechanics used for prototyping
Figure 1: 超短パルスレーザーのパルスが短いほど、波長の帯域幅が広くなる

超短パルスレーザー: 速度の問題

超短パルスレーザーの短いパルス持続時間と高いピークパワーは、材料加工、マイクロマシニング、バイオメディカルアプリケーションや、非線形イメージングや顕微鏡、防衛、通信を始めとする多くのアプリケーションに高い利点があります。 材料加工やマイクロマシニングでは、超短パルスレーザーがより高い寸法公差を可能にし、周辺部への損傷の低減や後処理工程を削減します。1 超短パルスレーザーの短いパルス持続時間は、レーシック眼科手術などの医療用レーザーアプリケーションにおいて心的外傷軽減にもつかながり、消毒や麻酔の必要性を低減します (Figure 2)。2

3D printed mechanics used for prototyping
Figure 2: 超短パルスレーザーは、患者の安全性を高め、感染症のリスクを抑え、精度を高めるために、メスを用いないレーシック眼科手術に用いられる

分散: それはどのようなもので何故問題になるのか?

色分散とは、その光周波数や波長における光媒体中の光の位相速度 (または速度) の依存性を表すものです。光学部品に使用される多くの基板は正の分散を示します。これは、長い波長のほうが短い波長よりも高い位相速度を持つことを意味します。正のチャープとして知られるプロセスでは、超短パルスのパルス持続時間がこれによって引き伸ばされ、超短パルスアプリケーションに弊害をもたらします。

Dispersion leads to the broadening of ultrafast laser pulses. AOM stands for acousto-optic modulator, which is a component that allows lasers to emit a pulsed output
Figure 3: 分散は超短パルスレーザーのパルスの拡がりにつながる。AOMとは音響光学変調器のことで、レーザーにパルス出力を発振させる部品

しかし、これは多層膜誘電体ミラーなど、負の分散を持つ光学部品によって補償することができます。こうした部品では、短い波長は長い波長よりも高い位相速度を持ちます。これによって、システム内で先に発生する正の分散が相殺され、パルス圧縮を最適性能で行えるようになります (Figure 4)。

3D printed mechanics used for prototyping
Figure 4: 負の分散で圧縮されたパルスは、光媒体を透過することによってもたらされる正の分散の超短パルスを相殺する

分散が超短パルスレーザーシステムにどのような影響を与えるのかを考慮する際、群遅延や群遅延分散 (GDD) を理解することが必要です。光学部品の群遅延は、その角周波数に対する放射の電界の位相変位の導関数です。 GDDは、周波数に対する群遅延の導関数、もしくはスペクトル位相の二次導関数として定義されます。 単位長さ当たりのGDDは、群速度分散 (GVD) として知られています。 GDDは、通常fs2の単位で、対するGVDはfs2/mmの単位で表されます。パルス圧縮用オプティクスは、正のチャープパルスを圧縮するために、負の大きなGDDを一般に有します。分散やGVDに関する更なる情報は分散 (Dispersion) のアプリケーションノートをご覧ください。

解決法: 高分散超短パルスミラー

超短パルスの分散補償向けのパルス圧縮用オプティクスには、回折格子やプリズムなど、いくつかの異なる種類があります。 しかしながら、高分散ミラーは、パルス圧縮に対して、コンパクトなサイズ、低損失、そして広い帯域幅における高い負の分散といった理由で優位性があります。3

高分散超短パルスミラーの機能を理解するには、ほかの2種類のミラーについても理解することが重要です。Gires-Tournois Interferometer (GTI) ミラーとチャープミラーです。GTIミラーは、共鳴を利用して角度依存の負のGDDを発生させ、超短パルスレーザーの共振器分散制御を行います。 しかしながら、GTIミラーは非常に限られた帯域幅でしか負のGDDを発生しません。また、高次分散を招きます。

一方のチャープミラーは、波長に依存したレーザーパルスの侵入深さ全体で制御された負のGDDを発生させます。このミラーの誘電体コーティング層の厚さは、光がコーティング内を進むにつれ増加します。 これは、コーティング内の短波長の侵入深さを長波長のそれに比べて短くさせ、長波長が短波長に実質的に「追いつく」ことによって、より大きな群遅延をもたらします (Figure 5)。 しかしながら、こうしたシンプルな多層膜誘電体構造では、異なる層の厚さに個々に切り替わることが、波長を関数としたGDDの変動につながります。これは、ファブリペロー共振器内で発生する変動と同様です。

Chirped mirrors have a variable layer thickness that causes negative dispersion by allowing longer wavelengths to penetrate further into the coating than short wavelengths
Figure 5: チャープミラーの層の厚さは変化し、長波長のほうが短波長よりもコーティングにより深く侵入するため、負の分散を引き起こす

高分散超短パルスミラーは、波長依存の侵入効果 (従来のチャープミラーのそれに類似) とmulti-GTIとして知られる多重共鳴効果を組み合わせることでこの問題に対応します。3 この最適化した侵入効果と共鳴効果の組み合わせにより、多層膜コーティング構造の厚さを増加させることなく、広い帯域幅にわたってより高いGDD値と低損失が可能になります。

回折格子や分散プリズムなどの伝統的なパルス圧縮用オプティクスも、超短パルスの圧縮と分散補償に用いることができます。 しかしながら、高分散ミラーは、コンパクトなサイズ、低損失、そして広い帯域幅にわたる高次の負のGDDといった点で優位性があります (Figures 6、7)。このミラーは、GDDと三次以上の高次分散を補償する全反射型でアライメント不要のパルスコンプレッサー用に用いられます。

Chirped mirrors have a variable layer thickness that causes negative dispersion by allowing longer wavelengths to penetrate further into the coating than short wavelengths
Figure 6: 1030nm 高分散超短パルスミラーの反射率曲線
Chirped mirrors have a variable layer thickness that causes negative dispersion by allowing longer wavelengths to penetrate further into the coating than short wavelengths
Figure 7: 1030nm 高分散超短パルスミラーの群遅延分散 (GDD) 曲線

非線形パルスの過度な歪みや利得媒体への損傷を防ぎながら超短パルスを高い光ピークパワーに増幅するチャープパルス増幅 (CPA) レーザーは、増幅前後のパルスの伸長と圧縮に依存しています。そのため、 高分散超短パルスミラーなどの圧縮用オプティクスは、CPAレーザーにとって極めて重要です。

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6/13/19
Ultrafast Optics:
Challenges and Solutions

Optical components for ultrafast lasers face a unique set of challenges that must be overcome to ensure high pulse quality and to maximize system performance.

エドモンド・オプティクスの高分散超短パルスミラー

エドモンド・オプティクス (EO) は、一般的な超短パルスレーザー波長用にさまざまな高分散超短パルスミラーをご用意しています。

参考文献

1. Mielke, Michael. "Ultrafast Lasers: Ultrashort Pulse Lasers Bring Cost-Efficient Precision to Micromanufacturing." Laser Focus World, 8 Apr. 2015.

2. "The Benefits of Femtosecond Lasers and Why We Use Them." Spindel Eye Associates, 16 May 2017, www.spindeleye.com/blog/2017/05/the-benefits-of-femtosecond-lasers-and-why-we-use-them/

3. Pervak, V., et al. "High-Dispersive Mirrors for Femtosecond Lasers." Optics Express, vol. 16, no. 14, 2008, pp. 10220–10233., doi:10.1364/oe.16.010220.

よくある質問 (FAQ)

FAQ  高分散超短パルスミラーの入射角はなぜそんなに小さい?

高分散超短パルスミラーの小さな入射角は、複数のミラー間での反射を多くさせます。そのため、複数のミラーを同時に使用して最大限の分散補償とパルス圧縮を行うことができます。

FAQ  超短パルスレーザーの短いパルス持続時間は、超短パルス用オプティクスのレーザー誘起損傷閾値に影響を与える?

はい。超短パルスレーザーの短いパルスは、他のレーザーパルスとは異なる方法で光学コーティングと基板に作用するため、その損傷メカニズムも異なります。詳細は、 超短パルスレーザーのレーザー誘起損傷閾値 (LIDT for Ultrafast Lasers) のアプリケーションノートをご覧ください。

FAQ   どのパルス持続時間が「超短パルス」と考えられる?

ピコ秒、フェムト秒、アト秒のパルス持続時間 (100ps以下) のレーザーパルスが一般に「超短パルス」と考えられています。

参考資料

アプリケーションノート

理論的説明や公式、図解などを網羅した技術情報やアプリケーション実例です。

Ultrafast Lasers – the Basic Principles of Ultrafast Coherence
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LIDT for Ultrafast Lasers
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