フレネルレンズの利点
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フレネルレンズの利点

理論 | 製造 | アプリケーション

Fresnel Lenses

フレネルレンズには、樹脂面上に一連の同心円状の溝が刻まれています。その薄く、軽量な構造により、小さなサイズから大きなサイズのものまでが選べ、またその優れた集光能力により、様々なアプリケーションに利用されます。フレネルレンズは、コンデンサーシステムや光エミッター/ディテクター構成といった集光アプリケーションに最も頻繁に用いられます。また拡大鏡、或いは照明システムや画像形成用の投影レンズにも用いられることがあります。

フレネルレンズは、従来の光学レンズが持つ曲面を一連の同心円状の溝に置き換えたものです。これらの溝が屈折面として個々に働き、平行光線の光路を曲げて所定の焦点位置に光を集めます (Figure 1 参照)。これにより、フレネルレンズは物理寸法的に薄い形状ながらも、従来の光学レンズと同様に光を一点に集めることができます。しかしながら、物理的に薄い以外にも幾つかの利点が存在します。

Profile of a Fresnel Lens

Figure 1: フレネルレンズの形状

 

フレネルレンズの理論

フレネルレンズの動作原理は、一定の媒質中では光の伝搬方向は変わらず (散乱しない限りにおいて)、媒質表面のみで方向が変わるという概念が背景にあります。そのため、凸レンズ中央部での材料の厚さは、システム内の重量や光の吸収を増やすデメリットしかないと考えられました。

このデメリットを解消するために18世紀の物理学者達は実験を開始し、フレネルレンズとして今日知られるものを作り出しました。当時は、曲面プロファイルの環状リングを形成するため、一片のガラス基板上に溝を刻んでいました。この曲面プロファイルを光軸方向に個々に押し出すと、球面か非球面形状を有する従来のレンズと同じ形状になります (Figure 2)。従来の光学レンズと同様の光学的特性があることから、フレネルレンズはアプリケーションによってはより良好な集光性能を発揮します。溝の施される密度が高くなると画質がより高くなり、密度が低くなると集光アプリケーションに必要となる効率性がより高くなります。しかしながら、高精密なイメージングを求める場合は、従来のシングレットやダブレット、或いは非球面といった光学レンズの選択がベストだと言えます。

Side Profile Comparison of a Plano-Convex (PCX) and a Fresnel Lens

Figure 2: 平凸レンズとフレネルレンズの断面形状の比較

 

フレネルレンズの製造

最初のフレネルレンズは、手作業によりガラスを研削・研磨し、手間暇をかけて作られました。最終的には溶融したガラスを型に流して作りましたが、産業用や商用アプリケーションでフレネルレンズが実用的に用いられるようになったのは、20世紀に入って光学品質のプラスティックやインジェクションモールド製法が発達してからのことです。

フレネルレンズは、様々な基板材料から製造することができます。所望の使用波長に応じて、アクリルからポリカーボネイト、そしてビニルまでが用いられます。アクリルは、可視や紫外 (UV) 域において透過率が高いことから、最も一般的に用いられる基板材料です。これに対してポリカーボネイトは、耐衝撃や温度に対する耐性の高さから、過酷な環境での使用における選択肢となります。

 

アプリケーション実例

フランスの物理学者、オーギュスタン-ジャン・フレネル(Augustin-Jean Fresnel)(1788 - 1827) は、フレネルレンズを概念化した最初の人物ではありませんが、灯台にそれを用いたことで、フレネルレンズを世に広めました。それ以来、フレネルレンズは光のコリメーションや一点集光から拡大鏡まで、様々なアプリケーションに利用されています。

コリメーション

フレネルレンズは、光源から焦点距離分離れた場所にそれを配置することで、点光源の光を容易にコリメートすることができます。単位共役システムの場合は、フレネルレンズの溝のある面を共役距離の長い方に向けて使用します (Figures 3 - 4)。これにより、最良の性能を得ることができます。

Light Collimation of a Point Source with a Fresnel Lens

Figure 3: フレネルレンズを用いた点光源のコリメーション

一点集光

フレネルレンズの最も共通したアプリケーションの一つに、ほぼ平行光と見なせる太陽光の集光があります (無限共役システム)。太陽電池の感光面上に光を集めたり、レンズの焦点上を熱したりするのに、フレネルレンズを用いた一点集光は理想的です。例えば、家やプールの水を温めたりするのに、フレネルレンズ一枚を用いることができます! この用途の場合、レンズ表面全体が集光する量を決定づけます。

Light Collimation of a Point Source with a Fresnel Lens

Figure 4: フレネルレンズを用いたコリメート光の一点集光

拡大鏡

フレネルレンズを用いた別の共通したアプリケーションに拡大鏡用途があります。拡大鏡として、また投影レンズとして用いることができますが、高次の歪があるため、この用途には一般に推奨されません。画質も歪の量が多いために、高精密なシステムの画質とは比較になりません。

フレネルレンズは、太陽光アプリケーションに共通して用いられますが、安価で薄く軽量な凸レンズ素子を必要とする全てのアプリケーションに最適です。フレネルレンズは新しい技術ではありませんが、その汎用性は製造技術や基板材料の改良により増えてきています。フレネルレンズは、独自性が高く興味深い光学デザインに対して活躍する、真にユニークな光学用レンズです。

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