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レンズ用スペーサーやシム、エクステンダーレンズ

レンズ用スペーサーやシム、エクステンダーレンズ

本ページはイメージングリソースガイドセクション7.1です

 アプリケーションに応じて、レンズが本来持つ機能以上のことを求めたり、理想的なデザインパラメータになることを求めたりします。レンズ用スペーサーやシム、そしてエクステンダーレンズは、ユーザーが簡単にこの要求を実行できるシンプルなアクセサリーツールです。スペーサーやエクステンダーレンズは、固定焦点レンズで得ることのできる実視野のサイズや作動距離を変えられるのに対し、シムはテレセントリックレンズの作動距離を正確に制御するのに用いられます。

レンズ用スペーサー

 大抵の固定焦点レンズは、一体化したメカニカル機構を装備し、作動距離が変わってもレンズのピントを合わせることができます。固定焦点レンズの本質は、レンズ系全体が特定領域内で光軸に沿って前後に移動することで、レンズのピントの合う作動距離が決定されることにあります。この事前に決められた作動距離範囲は、レンズのデザインを元に選定され、レンズはその設計作動距離内で良好な画質を提供します。しかしながら、より小さな実視野サイズやより短い作動距離を必要とする特定アプリケーションにも適応するために、レンズをその領域から更に拡張して使用すると都合の良い時があります。カメラとレンズの間に適当な厚みのスペーサーを一枚挿入することで、システムの機能性が拡張され、そのレンズが本来有効に機能する作動距離範囲に変化が生じます。しかしながら、この機能性の拡張は、レンズが通常機能する領域から逸脱するため、システムへの導入前に慎重に検討される必要があります。

 一般的にスペーサーを加えることの主要目的は、ビジョンシステムの倍率を上げたり、作動距離を短くすることです。この2点の変更は同時に起こり、ガウスの結像公式によって説明できます。公式 1は、像距離 (I)、物距離 (O)、及びレンズの焦点距離 (f)の関係を表します。なおこの公式では、物距離を負の数値で代入します。像距離が増えると、物距離 (レンズの作動距離に相当)は減らさなければなりません。また作動距離と像距離が変わると、結像倍率 (PMAG)の大きさも公式 2に基づき変化します (倍率に関する追加情報は、物空間側の解像力をご覧ください。)。Figure 1は、この関係を視覚的に表わします。 イメージングレンズはこの図よりも入り組んだ光学系ですが、スペーサーを使用した時の計算はもっと複雑になります。

(1)$$ \frac{1}{I} = \frac{1}{O} + \frac{1}{f}$$
(2)$$ \text{PMAG} = \frac{I}{O}$$
An Illustration of the relationship between image and object
distance (I and O respectively) and lens focal length (f).
Figure 1: 像距離 (I)と物距離 (O)、及びレンズの焦点距離 (f)の関係

 作動距離を短くすることと倍率を増やすこと (実視野サイズを小さくすること)の2点は、光学系にスペーサーを利用する最も明確な利点です。正しい厚さのスペーサーの選定は、アプリケーションによって変わりますが、一例としてf=35mmレンズと同レンズに11mm厚のスペーサーを加えた時の比較を見てみましょう。その結果をTable 1に紹介します。

 この例において、スペーサーを加えることによって生じる最も大きなシステム上の変化は、作動距離 (物距離)の大きさが半分近くまで短くなることと、倍率が2倍以上増えることです。システム全長の長いシステムでは、スペーサーを用いることでトータルトラック長 (像面から物面までの距離)を短くできるため、スペース効率的には都合が良くなります。

 スペーサーなし11mm厚スペーサー使用時
焦点距離 35mm 35mm
レンズ全長 41mm 52mm
像距離 42.9mm 53.9mm
物距離 190.9mm 100mm
作動距離 165mm 74.1mm
トータルトラック 223.5mm 143.6mm
倍率 0.22X 0.54X
実視野 (@1/2型センサー) 28.5mm 11.88mm

Table 1: 35mmレンズを最短作動距離でピント合わせした時のスペーサー使 用時と不使用時の仕様比較: 最も重要なシステムの変化を太文字で記載

 スペーサーが光学系に及ぼす性能上の影響を考慮しておくことも重要です。スペーサーを入れる前のレンズが物理的に機能する作動距離範囲は、光学設計的に最良の性能が得られるところが一般的です。スペーサーを利用することで作動距離を変えてしまうと、性能にも影響を及ぼします。上述の例と同じレンズを使用し、最短作動距離で使用する際のMTF曲線を Figure 2に、また11mm厚のスペーサーを同レンズに用いた時のMTF曲線をFigure 3に紹介します。どちらのグラフも、2⁄3型センサー上でF4設定時のものです。経験則として、レンズの焦点距離の半値以上の厚さのスペーサーは用いるのは、性能低下の点からお勧めできません。

 スペーサーを使用することによる限界や性能低下を理解した上で正しく使用していけば、スペーサーはレンズの機能性を拡張し、特定アプリケーションに適用させるのに優れた手法になります。この時、照明の光を単色にして使用波長域を制限すると、これらの問題を緩和できる場合があります。もっとも、レンズ本来の設計領域内で用いることが、最善の性能を得るために最も効率の良い方法になります。焦点距離の長いレンズは、短焦点レンズに比べるとデザインがシンプルな場合が多く、短焦点レンズにスペーサーを用いる手法よりも良好に機能することがよくあります。スペーサーを入れる前に、システムをよく検討することがまず重要です。スペーサーを加えることによる性能上の影響に関するご相談は、EOのテクニカルサポートにご連絡ください。特定レンズに関してのサポートが可能です。

35mm focal length lens at the minimum designed working distance.
Figure 2: 最短作動距離時の35mmレンズのMTF曲 線 (スペーサー不使用時)
35mm focal length lens with 11mm spacer.
Figure 3: 最短作動距離時の35mmレンズのMTF曲 線 (11mm厚スペーサー使用時)

シム

 シムはスペーサーと基本同じコンセプトですが、テレセントリックレンズなどの固定倍率系レンズに用いられるものです。シムはとても薄い (0.025 ~ 1.0mm) ステンレス製のスペーサーで、レンズの作動距離をより正確に制御して所定のセットアップ条件下で可能な最良な画質を得る目的に用いられます。

 カメラのレンズ当たり面からセンサー面までの理想的距離として、フランジバック距離というのが定義されていますが、実際には製造公差があるため、その名目上の設計距離からは若干異なる場合があります。筐体寸法の個体差やカメラ内のセンサー設置位置の個体差により、名目値からの誤差が生じます。マシンビジョンシステムの場合、作動距離や画質、あるいはシステム間の再現性のバラツキのいずれかを制御する目的のため、個々のシステム毎に調節する距離というものが存在します。薄型スペーサーとして機能するシムをレンズとカメラの間に装着することで、この距離を個々に調節することができます。

 像側の距離が変わると画質もまた変化します。像側距離が理想的デザインのそれから離れすぎると、無視できない像ボケやMTF特性の低下が生じます。一例として、一つのレンズを異なる機種のカメラ間 (但し設計上のフランジバック距離は同じ) に用いた時にこの問題が生じることがあります。同一機種のカメラとレンズを用いたとしても、カメラを切り替えた時にその距離のバラツキから作動距離や画質に変化が生じることがあります。この場合、シムを用いて像側距離を微調整して、MTFや画質を最善レベルにまで持っていくことができます。多くのテレセントリックレンズ製品にシムが付属している理由は、新たなビジョンシステムを個々にセットアップする際にこの像側距離の微調整を行う目的のためです。重要な光学パラメータがシステム間で同一となるように調節し、ソフトウェアによる閾値設定と校正手順を導入することで、システム間の再現性を高めることができます。

 テレセントリックレンズは、要求の厳しい部品計測や、被写体に特定の見え方を要求するアプリケーションによく用いられます。これらのアプリケーションの中には、ロボットアームのスイングモーションによって作動距離が制限されたり、付近にコンタミがあったり、マシンの既存のメカニカルレイアウトによって空間が制限されたりと、新たな計測システムの導入にあたり障害となる要素が存在したりします。レンズ用スペーサーを加えたりするのと同様、テレセントリックレンズのカメラ接続側にシムを追加したり、或いは取り除いたりすることで、像側距離と物側距離、そして焦点距離間の関係 (Figure 1)を活用して、レンズの作動距離を実用レンジ内に微調整することができます。またシムは、単色光アプリケーションにおいて色焦点シフト (イメージングリソースガイドセクション 6参照) を補正したり、再ピント調整するのにも用いることができます。シムはアプリケーションに応じて可能な最善のソリューションを実行するため、使用者による正確な像側距離の調整を可能にします。

焦点距離エクステンダー

 マシンビジョンシステムの倍率を上げる別の手法に、焦点距離エクステンダーの使用があります。焦点距離エクステンダーは、レンズ用スペーサーと 同様、使用するレンズとカメラの間に装着します。しかしながら、レンズ用 スペーサーとは異なり、焦点距離エクステンダーはレンズの作動距離範囲に変化を与えません。焦点距離エクステンダーは、マシンビジョン用レンズの 焦点距離を特定倍数分だけ伸ばすために、負のレンズ群で構成されたレンズ用アクセサリー製品です。例えば、f=25mmレンズに2X用のエクステンダーを 併用すると、レンズの焦点距離は50mmになり、レンズにより得られる実視野サイズをそれまでのサイズの半分の大きさにすることができます。この時、レンズの作動距離は全く変わりません。

 焦点距離エクステンダー使用の別のメリットは、エクステンダーを積み重ねて使用でき、レンズの焦点距離を伸ばす倍数に重畳効果を持たせられることです。例えば、f=25mmレンズに2X用のエクステンダー1個と1.5X用のエクステンダー1個の計2個を併用すると、レンズの焦点距離は75mm (=25mm x 2 x 1.5)に変換されます。

 レンズ用スペーサーの使用時と同様、焦点距離エクステンダーを用いる際は、画質の潜在的低下を検討していく必要があります。性能に対する妥協なしに多くのことは望めません。個々のマシンビジョン用レンズは、それ単独で使用した時に光学性能的にバランスが取れるよう設計/製造されているため、そこに負の焦点距離を有する素子を追加することは、レンズデザイン的に元々考慮していない追加の光学収差を招くことになり、画質性能を低下させます。また焦点距離エクステンダーは、レンズのFナンバーを変えてしまうので、レンズを暗くします。例えば、2Xの焦点距離エクステンダーは、光量スループットをその倍の逆数である1⁄4倍にします。焦点距離エクステンダーを導入する前に、画質に与える潜在的な負の影響を予め理解しておくことが必要です。

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