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変調伝達関数 (MTF)とMTF曲線
エドモンド・オプティクス・ジャパン株式会社

変調伝達関数 (MTF)とMTF曲線

著者: Gregory Hollows, Nicholas James

本ページはイメージングリソースガイドセクション3.2です

 MTF曲線は、解像力とコントラストの情報を同時に表わし、特定アプリケーションに対する要求を元にレンズを評価したり、複数のレンズの性能を比較するのに用いることができます。MTF曲線を正しく使うと、アプリケーションが実際に遂行可能かを見極めるのにも役立ちます。MTF曲線の読み方に関する情報はレンズ性能曲線をご覧ください。

 Figure 1は、Sony ICX625センサー (画素サイズ3.45μmの2/3型センサーフォーマット)に使われたf=12mmレンズのMTF曲線の一例です。この曲線は、0本/mmから150本/mmまでの空間周波数におけるレンズのコントラスト性能を表わします (センサーの限界解像度は、上述の画素サイズから145本/mmと計算されます)。ちなみにこのレンズは、F2.8、光学倍率 (PMAG) =0.05Xで設定されています。よって実視野の大きさは、センサーの水平方向の寸法に光学倍率の逆数である20倍を掛けた約170mmになります。この実視野/光学倍率は、本セクションの全ての例に用いられることになります。シミュレーション上の光源には、白色を使用しています。

MTF Curve for a 12mm Lens used on the SonyIXC625 Sensor
Figure 1: Sony ICX625センサーに使われたf=12mmレンズのMTF曲線

 この曲線には様々な情報が含まれています。最初に気付くのは、回折限界曲線が黒色で示されていることです。黒色の曲線は、理論上可能な最大コントラストを表わし、150本/mmの空間周波数でほぼ70%のコントラストが達成可能であることを示しています。この性能よりも更に高いレンズデザインは存在しませんし、どう製作しても作れません。黒線以外の3色の曲線 (青、緑、赤)は、センサー上の所定の地点におけるレンズの性能を表わし、青色がセンサー中心、緑色がセンサーのフル像高の70%地点、赤色がセンサーのコーナー地点になります。どの曲線からもわかる通り、低い空間周波数と高い空間周波数ではコントラスト性能が同じになることはなく、センサー上の各地点においても同じ性能にはなりません。よって、実視野全体で一定のコントラスト性能を得ることはできません。

 また緑色と赤色の曲線には、各々2本の異なる曲線がプロットされています。これらの曲線は、センサー中心には存在しない、軸外におけるタンジェンシャル方向とサジタル方向のコントラスト性能を各々表わしています。レンズが縦横方向に規則正しく配列した真円ドットパターンの像を作る時、光学的収差の影響により完全に真円のドット像を作らず、縦横方向で長さの異なる楕円状スポットを形成してしまいます。この形状の変化は、一方の軸方向におけるスポット群の配列の方が他方の軸方向におけるそれよりも早く混ざり合い、同じ空間周波数でも軸方向によって異なるコントラストレベルが生じてしまうことを意味します。与えられたアプリケーションに対してレンズを評価する際、この2つの軸方向の値のうちの低い方を踏まえておくことがとても重要になります。システム内で最高レベルの性能を得るためには、コントラストレベルをセンサー全面に対して最大化していくことが肝心です。

レンズのデザインと設定による性能比較

例1:同一焦点距離 (f=12mm)の2つの異なるレンズデザインをF2.8で比較

 Figure 2は、同じ焦点距離を持つ2つの異なるレンズを同一の実視野サイズ、センサー、Fナンバーで使用した際の比較です。この2つのレンズは、同じサイズのシステムを作り出しますが、性能は大分異なります。コントラスト30%上に記した水色の水平線を指標にすると、Figure 2aでは実視野内のどの地点においても少なくとも30%のコントラストが達成できていて、センサー本来の性能を全体的に活用できていることがわかります。対するFigure 2bでは、視野のほぼ全てが30%より下のコントラストになり、センサー面積のわずかな部分しか良好な画質が得られないことになります。また、両方のグラフにある橙色の四角形は、Figure 2bの性能の低い方のレンズのコントラストが70%時の空間周波数を示しています。同じ大きさの四角形をFigure 2a上に配置すると、2つのレンズ間には低い空間周波数でさえかなり大きな性能の違いがあるのが見て取れます。

 2つのレンズ間の違いは、コスト上の制約から来る設計上の制約や製造上のバラツキから生まれます。Figure 2aのレンズは、かなり複雑なデザインを採用し、製造公差もより厳しくして作られています。Figure 2aのレンズは、空間周波数が低いアプリケーションや比較的短い作動距離で大きな実視野を求める解像力要求の厳しいアプリケーションのどちらにも適します。対するFigure 2bのレンズは、より多くの画素数を用いて、画像処理アルゴリズムの厳守を高めたり、低価格を求める場合に最良に機能します。どちらのレンズも、アプリケーションに応じた適切な選択となるシチュエーションが存在します。

MTF Curves for Imaging Lens with f/2.8, 150mm WD, and 12mm FL
MTF Curves for Imaging Lens with f/2.8, 150mm WD, and 12mm FL
Figure 2: 同一の焦点距離、Fナンバー、システムパラメータを持つ2つのレンズデザイン (上図aと下図b)のMTF曲線

例2:焦点距離が異なる (f=12mm & 16mm)2つの高解像力レンズデザインをF2.8で比較

 Figure 3は、12mmと16mmの焦点距離を各々持つ2つの高解像力レンズを、同一の実視野サイズ、センサー、Fナンバーに設定した時の比較です。Figure 3bのナイキスト周波数でのコントラスト性能に目を向けると (水色の水平線で図示)、Figure 3aと比較した時に明確な性能の向上が見て取れます。コントラストの絶対量的な差は10~12%程度ですが、約30%だったコントラスト値が42%に変わっていることを考えると、相対量的な差としては33%近くなります。また本例では、別の大きさの橙色の四角形 (Figure 3aにおいてコントラストが70%時の空間周波数)を記しました。このレベルでの両グラフの性能の差は、前例ほど極端な違いではありません。両者のレンズの実視野サイズを合わせるために、Figure 3bのレンズの作動距離をFigure 3aのレンズより33%程伸ばさなくてはならないというデメリットはありますが、性能はその分向上します。これは、良質なイメージングを得るための 11のベスト・プラクティスに概説した一般的ガイドラインにも紹介しています。

High Resolution Lens Design with f/2.8, 150mm WD, and 12mm FL
High Resolution Lens Design with f/2.8, 150mm WD, and 16mm FL
Figure 3: 焦点距離が異なる2つの高解像力レンズデザイン (上図aと下図b)を同一のFナンバーとシステムパラメータで設定

例3:同じ焦点距離 (f=35mm) のレンズデザインを異なるFナンバーで比較

 Figure 4は、f=35mmレンズを白色照明で使用し、FナンバーをF4 (グラフa)とF2(グラフb)に設定した時のMTF曲線です。黄色の線は、Figure 4aでのナイキスト周波数における回折限界の水準を両グラフ上に記し、対する青色の線は、Figure4aのレンズをF4で設定している時のナイキスト周波数において、実際に最も低いコントラストの水準を記しています。Figure 4bでの理論的性能限界曲線は遥かに高いところに位置していますが、実際の性能は遥かに低いことがわかります。これは、Fナンバーを高くすると (レンズの絞りを絞ると)、理論的性能限界曲線はかなり下がってしまうものの、収差による影響を低減でき、レンズ性能を大幅に向上することができることを示す好例と言えます。但し、Fナンバーを高くすることによって、レンズの透過光量が少なくなってしまうというトレードオフも存在します。

MTF Curves for a 35mm Lens with f/4
MTF Curves for a 35mm Lens with f/2
Figure 4: 同一の35mmレンズを同じ作動距離で設定し、Fナンバーだけ違う値 (F4 (上図a)とF2(下図b))に設定

例4:作動距離を変更した時のMTF特性上の変化

 Figure 5は、f=35mmレンズをF2で設定し、レンズの作動距離を200mm (a)と450mm(b)に各々した時のMTF曲線です。性能上の大きな違いが見て取れ、レンズは作動距離を変えることで収差量を調整できることがわかります。ピントの再調整を含め作動距離を変えていった時、レンズ設計上の推奨作動距離範囲から外れたところで使用すると、性能の変動や低下に繋がっていきます。この現象は、特に低Fナンバー設定時によく現れます。この効果に関する更なる情報は、レンズデザインによるMTFの収差バランスと、収差がマシンビジョン用レンズに与える影響のセクションで各々紹介しています。

MTF Curves for a 35mm Lens with f/2 and 200mm WD
MTF Curves for a 35mm Lens with f/2 and 450mm WD
Figure 5: F2設定の35mmレンズを異なる作動距離で使用した時のMTF曲線

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