解像力とコントラストに関する限界: エアリーディスク
著者: Greg Hollows, Nicholas James
本ページはイメージングリソースガイドのセクション2.5です
光がどんな開口の大きさ (有限開口)のレンズを通過する時でも、光の回折現象が必ず起こります。その結果、中央部に明るい領域を持ち、その周囲に暗い同心円状輪帯を有する回折パターンが生じます。これをエアリーディスクと呼びます (Figure 1参照)。
このパターンの直径の大きさは、照明光の波長 (λ)と円形開口のサイズに関係します。これは重要なポイントです。なぜなら、エアリーディスクは、光が焦点を結ぶ場所での最小スポット径に相当するからです。物体の異なるポイントから各々形成されたエアリーパターンが隣接に位置し、重なり合い始めます (コントラストに関する詳細はこちらを参照)。パターン同士が互いに強め合う干渉を起こすほど重なり合う時、Figure 2.3に図示したようにコントラストが減少し、最終的に互いのパターンが区別できなくなります。Figure 1は、レンズのFナンバーを各々F2.8とF8にした時のスポットサイズの違いを表わします。
センサーの画素サイズが小さくなり続けている昨今、エアリーディスクの大きさは次第に問題になりつつあり、画素サイズより小さなエアリーディスクサイズにすることはとても困難になりつつあります。エアリーディスク径、即ち最小スポットサイズは、レンズのFナンバー (f/#)と照明光の波長λ (単位はμm)から計算することができます:
Figure 1: イメージングレンズの絞りを閉じると (Fナンバーを増やすと)、光の回折が増える
Table 1は、緑色の光 (波長は520nm (=0.520μm))を照明に用いた時のFナンバー別エアリーディスク径の計算値です。実現可能な最小スポットサイズは、画素の小さなセンサーに採用される画素サイズをすぐに超えることになります。このことは、コントラストのレベルがどうであれ、センサーの解像度をフルに活用しようとするのを困難にします。加えて、この問題には、レンズデザインによる限界や、レンズ玉やレンズ系の組み立て時に生じる製造上の誤差をまだ全く考慮に入れていません。これらを考慮に入れてしまうと、理論上可能な最小スポットサイズの実現性が低くなり、その結果、解像力やコントラストのレベルも低下することになります。
Fナンバー | 波長520nmでのエアリーディスク径 (μm) |
---|---|
1.4 | 1.78 |
2 | 2.54 |
2.8 | 3.55 |
4 | 5.08 |
5.6 | 7.11 |
8 | 10.15 |
11 | 13.96 |
16 | 20.30 |
Table 1: 最小スポットサイズ、即ちエアリーディスク径は、Fナンバーを高くすると大きくなり、センサーの画素サイズをすぐに超えることになる。
補足: 本説明は全て理論上の説明であり、光学系の限界を理解する出発点となります。
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