デジタルビデオマイクロスコープのシステムセットアップ
Edmund Optics Inc.

デジタルビデオマイクロスコープのシステムセットアップ

4点構成のシステム | 7点構成のシステム

Inverted Stereo Microscope

 デジタルビデオマイクロスコープ (顕微鏡)は、画像を取り込み、記録するためにカメラを利用します。従来の顕微鏡は、接眼レンズを用いた目視検査でしたが、デジタルビデオマイクロスコープは、人間の眼による観察に比べて、より高い解像力と正確性を一般に得ることができます。現在の顕微鏡には、標準的なDIN規格やJIS規格の対物レンズから、先進的な無限補正対物レンズを用いたものまで、様々なアプリケーションやセットアップがあります。無限補正のデジタルビデオマイクロスコープは、その組立てが極めて複雑になるものの、どの部品を使用し、それがどのように機能しているかがわかれば、生物学や工学、またその他の検査アプリケーションに利用することができます。

 はじめに、有限系 (有限補正)の顕微鏡対物レンズと無限補正対物レンズの基本的な違いを考えてみましょう。有限系対物レンズは、研究所や大学に備えられた従来型の顕微鏡に見つけることができ、光を集光してセンサーや接眼レンズ上に像を結びます。一般的に、この対物レンズはアクロマートデザインを採用しており、2つの波長、すなわち赤色と青色に対してのみ色収差を補正しています。対する無限補正対物レンズは、センサーや接眼レンズ上に像を結ぶために、追加の光学部品 (結像レンズ)が必要になります。構成が複雑になる反面、平行光となる光路を得ることができます。ここに、減光やフィルタリングするための光学部品や、同軸落射照明用のビームスプリッター、或いはその他の光学素子を組み込むことができます。無限補正対物レンズは一般にアポクロマートデザインを採用し、3つの波長 (青色・黄色・赤色)に対して球面収差と色収差を補正しています。またより高い開口数を持つため、光を取り込む量とコントラストを改善します。対物レンズのタイプ別のさらに詳しい説明は、顕微鏡と対物レンズの理解をご覧ください。

4点構成のデジタルビデオマイクロスコープシステム

 無限補正対物レンズを使用して顕微鏡システムを構築する場合、カメラを組み込んでライブ映像や静止画像を撮るための2種類のシステム構成があります。一つは、200Xまでの高い倍率を有する迅速かつ簡便なデジタルビデオマイクロスコープシステムの構築です。カメラ、延長バレル、結像レンズと顕微鏡用対物レンズの4つの部品からなる、もっともシンプルな構成です (Figure 1を参照)。

Simple Infinity Corrected Digital Microscope System
Figure 1: シンプルな構成の無限補正デジタルビデオマイクロスコープシステム

 4点構成の本システムは、高倍率・高分解能で、高フレームレートを有するダイレクトビデオ顕微鏡を簡単に構築できます。例えば、3fpsのフレームレート時に3840 x 2748 (1050万画素)の画素数をもつ、とりわけ高分解能な画像を得ることができます。また100fps時には、752 x 480 (36万画素)の画素数を有するとりわけ速い画像を得ることができます。この場合、アプリケーションに関わらず、システム構成は同じであるということを理解することが重要です。この優れた基本システムの構成例として、Figure 2及びTable 1に紹介した商品コードを参照ください。

Table 1: 4点構成のデジタルビデオマイクロスコープシステムのサンプル商品コード
商品コード品名
#59-367 EO-3112C ½型CMOSカラーUSBカメラ
#56-992 対物レンズ用マウントチューブ ミツトヨML/MT-40用
#54-428 MT-40 結像レンズ
#59-877 10X EO M PLAN APO長作動無限補正対物レンズ

 見本の構成部品は、互いにねじ込みで連結されます。システム全長は267mm未満、光学倍率は10Xで最適化しています。デジタルビデオマイクロスコープシステムの全長は、使用する対物レンズの倍率に応じて多少変わります。大まかに言って、対物レンズの倍率が小さくなれば、システムの全長も短くなります。

USB Camera + Extension Tube + Tube Lens + Objective
Figure 2: #59-367 USBカメラモジュール + #56-992 対物レンズ用マウントチューブ + #54-428 結像レンズ + #59-877 対物レンズ

 4点構成のデジタルビデオマイクロスコープシステムの設置は、決まった部品を組み立てるのと同じくらい至極簡単です。システムは被検対象物に合わせて、垂直にも、或いは水平にも設置できます。細胞や生物学的サンプルなどは、一般にサンプルや液体が流れないよう、垂直方向へのセッティングが求められます。また、様々な長さのポストやポストホルダーを使用できます。この優れた基本システムの構成例として、Figure 3及びTable 2に紹介した商品コードを参照ください。

Simple Mounting Configuration for Four-Component Digital Microscope System
Figure 3: 4点構成のデジタルビデオマイクロスコープシステムの簡単な設置例
4点構成のデジタルビデオマイクロスコープシステムを固定するためのサンプル商品コード
商品コード品名
#52-930 C型ホルダーマウント
#39-355 90° アングルマウント
#52-220 水平アーム Φ19 x 228.6mmL
#39-351 垂直マウント用ポスト Φ19 x 304.8mmL
#54-262 Φ19mmポスト用ブレッドボードアダプター

 カメラ~対物レンズのシステムを所定の位置に固定するのに、別の固定治具も使用できます。例えば、#85-008顕微鏡対物レンズ用ナノポジショニングシステムは、ピエゾドライブと湾曲ガイド方式を採用するピント微調システムです。高精度、高分解能システムに適します。また、#03-668 調節レンズホルダーや#03-669バータイプレンズホルダーを単純な固定治具として用いることもできます。この時、デジタルビデオマイクロスコープシステムの安定性と保持を確実にするために、2つの同一部品が必要になります。

 4点の基本的な部品構成だけで、倍率100~200X、分解能300nmまでのデジタルビデオマイクロスコープシステムを作ることができます。無限補正対物レンズを組み込んだシステムで、低・高倍率の画像を得る方法に関する説明は、無限補正対物レンズの分解能と倍率の理解をご覧ください。

7点構成のデジタルビデオマイクロスコープシステム

 4点構成のデジタルビデオマイクロスコープシステムは、シンプルである反面、適応性に制限を受けます。追加の光学素子を光学面の中に加えることがアプリケーション上必要となる場合は、7点で構成されたシステムが理想的選択となります。7点構成の場合、デジタルマイクロスコープの中に同軸落射照明を導入するために、57mm分の設置スペース内に光学フィルター、ビームスプリッター、減光器が固定治具込みで加わります。7点構成システムは、蛍光顕微鏡や強い照明とコントラストが求められるアプリケーションに主に用いられます。同軸落射照明は、システム内のノイズを減少させ、グレアやゴーストの発生を最小化します。

Seven-Component Infinity Corrected Digital Microscope System
Figure 4: 7点構成の無限補正デジタルビデオマイクロスコープシステム

 7点構成のセットアップは若干複雑ですが、システム構築のプロセスをできるだけ簡単に説明しましょう。はじめに、#58-329 MT-1/ MT-2 Cマウントアダプターの中を開け、そこにMT-1もしくはMT-2の結像レンズを装着します。結像レンズ自体にはねじ込み加工が付いていないため、このアダプターを用いることで、その両側に必要なCマウントのねじ込みを与えます。このアダプターとCマウントカメラの間には、190mm長の延長バレルが追加で必要になります。結像レンズは対物レンズに直接装着しないため、#55-743 Cマウント ミツトヨ対物レンズホルダーを対物レンズに装着します (この対物レンズホルダーは、10mmの長さをシステムに加え、M26マウントとCマウントに接続的互換性を持たせます)。結像レンズと対物レンズ間は、設計上76.5mm分のスペースがあることが理想ですが、#55-743#58-329はそれぞれ10mm程度の光路長があるため、両者間には56.5mm程度の空間が実際にあればよいことになります。この56.5mmの空間に、延長バレルを使用するか、あるいはビームスプリッター、光学フィルター、偏光板などの光学素子を追加挿入します。

 対物レンズが無限補正光学系であるとはいえ、結像レンズと対物レンズ間の推奨距離が76.5mmだと理解することはとても大切です。距離が短くなりすぎると、システムはケラレを起こすことがあり、反対に距離が長すぎる場合は、不十分な光量のために画像が不鮮明になる可能性があります。Figure 4 の7点構成デジタルビデオマイクロスコープシステムの図解を参照ください。

 デジタルビデオマイクロスコープシステムは、産業用や生物学的サンプルの検査目的にとても有効な光学ツールです。4点から7点でシステムを構成することにより、使用者の要求に応じて簡単にも複雑にもできます。カメラ~対物レンズシステムの光路内に光学素子を挿入する必要があるときは、7点構成の無限補正システムが理想的選択になります。

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